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小児の弱視スクリーニング

No.4929 (2018年10月13日発行) P.55

林 思音 (山形大学眼科)

登録日: 2018-10-15

最終更新日: 2018-10-09

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【3歳児眼科健診へのフォトスクリーナーの導入】

弱視は視力の発達が障害された状態である。適切な時期に治療すれば視力は成長するが,発見が遅れると一生視力障害を負うことになる。わが国では3歳児眼科健診が行われており,多くの弱視は健診を通して発見されている。一方,一次・二次健診が問診と視力検査のみの場合,健診をすり抜け発見が遅れてしまう問題があった。

こうした背景の中,日本弱視斜視学会は,3歳児眼科健診では視力検査に加えフォトスクリーナー等による屈折検査の導入が望ましいことを新たに言及した1)。フォトスクリーナーとは,瞳孔の写真を撮影することで弱視のリスクファクターである屈折異常や眼位異常を検出する機器である。客観的に屈折異常と眼位異常を評価できるため,小児においては弱視リスクを検出する手段として特に有用である。

検査時間は数秒で操作も簡単なため,眼科検査に不慣れな検者も比較的容易に行える。当院小児科医が行ったところ,1人平均8.8秒で施行でき,視能訓練士施行時と比べ遜色なかった2)。一方,偽陽性が多いという問題があり,今後はわが国での異常判定基準を設けることが望まれる。なお,フォトスクリーナーはあくまで強い屈折異常,不同視,眼位異常を検出する機器であり,視力検査にとって代わるものではなく,最終的には眼科医による精密検査が必要である。

スクリーニング機器を用いて,より確実に弱視の早期発見ができる時代になりつつある。

【文献】

1) 日本弱視斜視学会. [www.jasa-web.jp]

2) 林 思音, 他:眼臨紀. 2017;10(5):399-404.

【解説】

林 思音 山形大学眼科

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