眼表面が化学物質に曝露されることで生じる眼外傷であり,原因物質の水素イオン濃度(pH)によってその予後が大きく変化する。主な症状は眼痛,流涙,眼瞼痙攣,視力低下である。一般的に労働災害が多いが,家庭内でも発生し,アルカリ性洗剤の飛入が多い。アルカリ性物質は組織への浸透性が高いため重症化しやすいが,酸性物質は変性した蛋白質がバリアとなり,それ以上の浸透を防ぐため組織傷害性が低いとされる。
細隙灯顕微鏡でフルオレセイン染色も併用して眼瞼,角結膜上皮障害の範囲や深さ,前房内の状態を評価する。腐食が強い場合,角膜は上皮障害やびらんに加え,融解,浮腫,混濁を生じ,結膜は虚血で白色調となる。視力予後の予測や治療方針の判断にはRoper-Hall分類や木下分類が役立つ。
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