多くの整形外科的疾患の治療は、保存療法が第一選択であり、その効果がなければ手術療法となります。手術療法では診断に応じていくつかの確立された方法がありますが、特殊な症例では、その手術に関して教科書のみならず文献にも記載されていないことが少なくありません。このような患者さんに出会った時は、これまでの経験と知識に基づいて論理的に説明できる新たな術式を考案することも必要です。
ここで術式の創意工夫により良好な成績が得られた1例を紹介します。外反母趾と中足痛に対する手術目的で入院となった55歳女性です。X線的に外反母趾と第2、3中足骨の内転変形を認めます。
外反母趾は第1中足骨が内反することにより母趾が外反する変形で確立された多くの術式があります。しかし、第2、3中足骨の内転変形を伴う外反母趾に対しては、従来の術式では第1中足骨内反の矯正ができないため良好な変形矯正を得ることは困難とされ、確立した術式もありませんでした。
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