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大切なひと、大切なことと、大切なときを生ききるためのお手伝い

No.4925 (2018年09月15日発行) P.3

徳田英弘 (ファミリークリニックネリヤ院長)

登録日: 2018-09-15

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  • 私の一枚は、奄美大島の観光名所の大浜海岸に出かけた親子の写真です。

    Aさん、50歳代の女性。夫と、高校生の長男、中学生の次男の4人家族でした。膵臓癌の末期で、肺転移などもあり、退院時の予後は1~2週間と言われていました。予後については、夫らには告知されていましたが、Aさんと次男には告知されていませんでした。

    「早く元気になって、子どものことをやらないといけない」「別れの言葉は言わない」とAさんは繰り返し語られました。Aさんにとって最も『大切なこと』は、『大切なひと』である息子たちに対して、母親としての役割を果たすことでした。また、一日一日衰えていく現実の中でも、生き続ける希望を持つこと自体を生きる支えとしているようにも思われました。

    退院後数日して、二人の息子たちをはじめとしたご家族に、心づもりをしてもらうための場を持ちました。このころ、Aさんは既に傾眠で、離床も困難、食事もほとんどとれない状況でした。私からは残された時間は1週間前後でしょうとお話ししました。息子たちは「気合で乗り切って、長生きしてほしい」と語り、厳しい現状を肌で感じる一方で、母の生き続ける意思に大きな期待があるようでした。

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