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睡眠時無呼吸症候群と高血圧症の関係は?

No.4924 (2018年09月08日発行) P.60

星出 聡 (自治医科大学循環器内科学部門准教授)

登録日: 2018-09-11

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睡眠時無呼吸症候群と高血圧症の関係を。高血圧症でいかなる徴候が表れたとき,原因として睡眠時無呼吸症候群を疑うべきか,その治療とともにご教示下さい。

(岐阜県 K)


【回答】

【OSASは高血圧発症,二次性高血圧のリスク因子。夜間血圧高値の場合,OSASを疑う】

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)の無呼吸発作に伴う微小覚醒や低酸素血症は交感神経亢進をもたらし,血圧上昇につながるとされます。この交感神経亢進は夜間だけでなく,日中にも影響が遷延し,OSASは高血圧発症のリスクとなるとされています。二次性高血圧の原因の1つともされているため,治療抵抗性高血圧,早朝高血圧,24時間自由行動下血圧計(24 hour ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)や最近では家庭血圧でも測定可能な夜間血圧が高値を示す症例は,OSASの存在を疑うべきかと思います。

しかしながら,通常の方法で測定される夜間血圧が正常であっても,OSASの無呼吸に伴い,血圧が急峻に上昇するような症例も存在します(図1)1)。日本人には欧米人と比べて,肥満を伴わないOSASが多いと言われています。したがって,診察室や家庭で測定する血圧が正常であっても,心血管疾患発症がハイリスクと思われる症例は,OSASの存在を一度は疑う必要があります。

治療は,重症OSASなら陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)の適応です。ただし,高血圧のみで昼間の眠気等の自覚が乏しい症例はCPAPのコンプライアンスは良くない傾向があります。そのような場合,もしくは軽症・中等症の場合はマウスピースの適応になり,降圧効果も認められています2)。CPAPもマウスピースも適応が難しいOSASを伴う高血圧症例の場合,降圧薬で血圧をコントロールするしかありません。前述の無呼吸に伴う急峻な血圧上昇は,眠前の高用量カルシウム拮抗薬またはαβ遮断薬投与により抑制可能なことが示されています3)

【文献】

1) Yoshida T, et al:J Am Soc Hypertens. 2016;10 (3):201-4.

2) Sekizuka H, et al:Clin Exp Hypertens. 2016;38 (4):404-8.

3) Kario K, et al:J Clin Hypertens(Greenwich). 2014; 16(6):459-66.

【回答者】

星出 聡 自治医科大学循環器内科学部門准教授

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