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大脳皮質基底核変性症(CBD)と大脳皮質基底核症候群(CBS)の位置づけ 【CBDに特徴的な症状を持つ状態を,CBSという臨床的概念で考える】

No.4920 (2018年08月11日発行) P.60

山脇健盛 (広島市立広島市民病院脳神経内科主任部長)

髙尾昌樹 (埼玉医科大学国際医療センター脳神経内科・ 脳卒中内科教授)

登録日: 2018-08-08

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  • 大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)と大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome:CBS)の,臨床的・病理学的な位置づけについて教えて下さい。埼玉医科大学国際医療センター・髙尾昌樹先生にご回答をお願い致します。

    【質問者】

    山脇健盛 広島市立広島市民病院脳神経内科主任部長


    【回答】

    簡潔にいえば,CBDは病理学的な疾患,C BSは臨床的状態を表した用語です。CBDは,Rebeizら1)により1967から1968年にかけて報告された3例を嚆矢とし,1989年にGibbら2)によりCBDと呼ばれるようになった比較的稀な疾患です。

    CBDの確定診断は病理解剖によって行われるので,生前に確定をすることはできません。脳の外観で,前頭葉や基底核の非対称性の萎縮を認めます。顕微鏡では,萎縮領域に一致して,神経細胞脱落やグリオーシスを認め,中脳黒質の神経細胞脱落,さらに,様々な領域に細胞体が風船状に腫大した神経細胞を認めることも特徴です。しかし,これらの所見だけでは疾患特異性は乏しいとされています。特異的な所見は,神経細胞やグリア細胞にリン酸化したタウ蛋白の沈着を認めることです。特に,astrocytic plaqueと呼ばれるタウの沈着は,CBDに特徴的な所見です。

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