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【他科への手紙】腎臓内科→輸液を行うすべての科

No.4919 (2018年08月04日発行) P.53

杉本俊郎 (滋賀医科大学総合内科学講座准教授東近江総合医療センター総合内科部長)

登録日: 2018-08-01

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  • 腎臓内科医として、他科の先生方からコンサルトを受けることが最も多い電解質異常は、「低ナトリウム血症」です。そのときに、決まって投与されているのが、0.9%塩化ナトリウム液です。そこで、他科の先生方に承知しておいて頂きたいのは、「0.9%塩化ナトリウム液、ナトリウム濃度154mEq/Lの輸液を行っても、低ナトリウム血症が悪化することがある」ということです。

    こう書くと、「血清ナトリウム濃度より高い輸液を行っているし、自由水も投与していないのに、血清ナトリウム濃度が下がるなんてバカなことがあるか」とお叱りの声が聞こえてきそうです。

    入院中の症例において、慢性的に血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の重篤な低ナトリウム血症をきたした場合、腫瘍や薬剤によるsyndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone(SIADH)が要因であることが多いです。

    ここで、SIADHによる低ナトリウム血症で、尿の浸透圧が600mOsm/kgの症例と仮定します。その症例に浸透圧約300mOsm/kg、ナトリウム濃度約150mEq/Lの0.9%塩化ナトリウム液を1L投与すると、SIADHはナトリウム代謝が正常で水代謝に異常がある病態(実際はこんなに単純な病態ではありませんが)であるので、尿にナトリウム150mEqが排泄されますが、尿の浸透圧が600mOsm/kgであることから、水は0.5L(投与した浸透圧は300mOsm/kgなので300÷600)しか排泄されません。つまり、0.9%塩化ナトリウム液1Lの投与は、自由水を0.5L投与したことになり、血清ナトリウム濃度の低下をきたします。

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