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国立国際医療研究センター内科ハンドブック 総合的内科診療の原理と実践

ジェネラリストが対応すべき課題、その答えがここに!

定価:7,260円
(本体6,600円+税)

在庫切れです

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編集: 三森明夫(国立国際医療研究センター臨床病理指導部長)
編集: 狩野俊和(国立国際医療研究センター膠原病科医長)
判型: -
頁数: 548頁
装丁: 2色刷
発行日: 2011年10月31日
ISBN: 978-4-7849-5467-4
版数: 第1版
付録: -

■内科診療のスキルアップを目指す全医師のため、「内科的救急診療」「症候・データの分析と対応」「治療マニュアル各論」という独自の三部構成で、「総合的内科診療の原理と実践」について縦横無尽に語り尽くした一冊です。
■国立国際医療研究センター院内用マニュアルをもとに大胆な編集を加え、ジェネラリストにとって真に必要な知識と、その知識を活かす方法をあますところなく伝授します。

目次

【第Ⅰ部】 内科的救急診療
1章 緊急対応:救急外来,または病棟での急変
1.不安定な救急患者に対するアプローチ
2.循環の評価および蘇生(C)
3.意識レベルと臓器環境
2章 循環器救急
1.不整脈の救急治療
2.前胸部痛・不快感と急性冠症候群
3.急性心不全の治療方針
3章 呼吸器救急
1.喘息の診療
2.呼吸不全
3.人工呼吸器管理(初期設定からweaningまで)
4.喀血
4章 麻痺,頭痛,痙攣,失神,眩暈の救急
1.脳血管障害
a.脳梗塞
b.脳出血
2.シビレ感の救急診療
3.対麻痺,四肢麻痺の救急,ギランバレー症候群
4.頭痛の鑑別と治療,髄液検査
5.痙攣発作
6.失神発作(syncope)
7.眩暈の鑑別診断
5章 消化器救急
1.消化管出血への対応
2.急性腹症
a.消化管の各論
特発性食道破裂
上部消化管の潰瘍穿孔
虫垂炎
腸間膜リンパ節炎
腸閉塞またはイレウス
大腸穿孔
憩室炎
虚血性腸炎
非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesentreric ischemia/NOMI)
上腸間膜動脈塞栓症
上腸間膜静脈血栓症
b.非消化器病態
腹部大動脈瘤破裂
妊娠年齢の女性の急性腹症
尿管結石(嵌頓)
急性陰?症
c.急性膵炎・胆?炎・胆管炎
6章 内分泌代謝の救急
a.内分泌クリーゼ
b.糖尿病性昏睡
7章 輸液,電解質
1.輸液と脱水治療
2.電解質異常への対応
a.Naの異常
b.Kの異常
c.Ca代謝異常
d.リン代謝異常
e.Mg代謝異常
3.酸塩基平衡異常と血液ガスの読み方
4.高カロリー輸液
8章 急性腎不全(ARF)と急性腎障害(AKI)
1.AKIの原因鑑別
2.AKIの治療
【第Ⅱ部】 症候・データの分析と対応
1章 呼吸器症候
1.呼吸音の聴診
2.胸部単純写真 読影のポイント
3.胸水の原因鑑別と対応
4.咳と慢性咳嗽
5.慢性閉塞性肺疾患/COPD
6.びまん性肺疾患
a.びまん性肺疾患の一覧
b.間質性肺炎の概念と臨床的アプローチ
c.びまん性肺疾患への臨床的対応2章 心臓診察
1.心雑音
2.高血圧症の治療と二次性高血圧症
3.チアノーゼの鑑別と肺高血圧症
3章 神経診察の方法
1.神経所見:対応する原因疾患の一覧
a.診察所見
b.神経障害のパターン分類
2.神経障害の生理検査
4章 消化器症候への対応
1.嘔吐と悪心
2.胸焼け
3.ピロリ菌と消化性潰瘍
4.下痢症への対応
5.下腹部痛と炎症性腸疾患
6.腹水の原因診断
5章 日常検査データの解釈と対応
1.生化学・血清検査
2.血算
a.貧血と多血症
b.血小板減少の鑑別一覧,および対応
c.白血球数の異常
3.出血傾向および紫斑
4.血栓病態の評価
5.輸血,血漿輸注
6.リンパ節腫脹の鑑別
7.腎病態の評価法
a.尿検査異常
b.腎機能評価
6章 熱性・炎症性病態への対応
1.熱と炎症反応
2.熱性疾患の診断法
a.感染症の肯定と否定
b.腫瘍熱と血液疾患
3.膠原病の所見,診断,治療方針
a.不明熱の答となりうる膠原病
Still病
ベーチェット病
リウマチ性多発筋痛症(polymyaligia rheumatica/PMR)
側頭動脈炎(temporal arteritis)
高安動脈炎
ANCA関連血管炎と結節性多発動脈炎
b.不明熱の候補になりにくい膠原病
SLE(全身性エリテマトーデス)
強皮症
多発性筋炎,皮膚筋炎
シェーグレン症候群
7章 関節痛の内科診療
1.関節痛の鑑別
2.内科的関節疾患のプライマリケア
【第Ⅲ部】 治療マニュアル各論
1章 感染症の治療
1.感染症治療の一般論2.臓器別の感染症
肺炎
結核
腎盂炎と腎盂腎炎
菌血症と敗血症
感染性心内膜炎(infective endocarditis/IE)
髄膜炎
骨髄炎
肝膿瘍
3.HIVマニュアル
2章 神経疾患の治療(慢性または亜急性に発症した神経疾患の診断,および治療法)
1.慢性疾患の管理
パーキンソン病
てんかん
多発性硬化症(multiple sclerosis)
重症筋無力症(myasthenia gravis/MG)
脊髄小脳変性症
筋萎縮性側索硬化症のケア
2.嚥下障害の管理
3章 肝疾患の一般内科診療
1.肝炎ウイルスによらない肝障害
2.肝炎ウイルスによる急性肝炎(劇症肝炎を含む)
3.肝炎ウイルスによる慢性肝炎
4.肝硬変の維持管理
4章 内分泌代謝疾患の慢性管理
1.診断と治療
高尿酸血症
Basedow病
甲状腺機能低下症
脂質異常症
骨粗鬆症
2.糖尿病診療マニュアル
5章 腎疾患の分類と管理法
1.慢性腎臓病(chronic kidney disease/CKD)
2.糸球体疾患
a.腎炎症候群
b.RPGN
c.ネフローゼ症候群
d.その他の腎症
e.感染症と腎障害
3.尿細管間質性腎炎(tubulointerstitial nephritis/TIN)
4.薬剤性腎障害
5.血管病変による腎障害
6.腎?胞および多発性?胞腎(renal cyst,and polycystic kidney disease/PKD)
7.透析治療(dialysis therapy)
6章 一般内科のためのステロイド治療マニュアル,および免疫抑制薬の併用
1.ステロイド治療の適応疾患
2.免疫性疾患のステロイド治療プロトコール
3.ステロイド薬の特性
7章 緩和ケアマニュアル
1.緩和ケアの導入
2.疼痛緩和マニュアル

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序文

本書の発刊にあたって

医師としての初めの数年は,基礎的,総合的な,医師としての最も重要な臨床の基盤を身につける時期であり,この中で自分のめざす専門領域を見つけ,専門医として育っていく。若手医師にとって,多くのものを吸収し,時に挫折を味わうこの時期は,やりがいがあり,結果において楽しく充実した期間でなければならないと思っている。

当センターの初代総長,高久史麿先生は「現在の専門医制度の中で,わが国の若手医師には,得られた所見から自分で疾患を考え,それを証明していくために検査をするという臨床の原点,つまり臨床推論(Clinical Reasoning)を行うという点が欠けている。患者の訴えを聞き,該当の専門科へ兼診をかけることで済ませていては本当の総合的な力を持った専門医は育たない」という指摘をされている。ここに述べられている「総合的な力を持った専門医」になるためには,経験症例数だけでなく,指導環境や切磋琢磨する友人との出会い等も重要である。そして,もし客観的には不十分な条件であっても,結果的に充実した経験,研修となるように積極的な姿勢を持つようになることが必須ではないかと考えている。

本書は,「総合的な力を持った専門医」を育てることを目標にした,国立国際医療研究センターにおける,卒後研修を進める葛藤の中で生まれてきたマニュアルと言える。三森副院長の努力により,我々センタ—の現状を基に,内科医が共通に行える実践的な内容としてまとめられたものであり,各診療科,専門医が各々のパートを作り単に並べたものとは異なる。本書が現場の若い臨床医に役立つことを,また,今後改訂を重ねさらに充実したものになることを願っている。

€2011年9月

€国立国際医療研究センター病院長 木村壯介



序 文
€

本書で想定する読者は,内科研修医,シニアレジデント,一般病院において一人で様々な内科疾患に対応している医師である。クリニック診療にも役立つはずだが,外来よりは病棟診療に重点を置いた。

€“総合的な内科診療”のイメージが,医学生や研修医に人気が高い理由は,“○○だけを診る医者になりたくない”と彼らが思うからである。しかしその内容は,標準化されていないようである。様々な科の専門医が各自で総合判断する状況を考えれば,守備範囲は多様になり,総合的診療を一律には定義しにくい。本書では総合医をコーディネータでなく,自分で考えて実践する医師と仮定した一方,消化器内視鏡と心臓超音波検査を一人で行うようなスーパー医師は考慮していない。むしろ逆に,専門的な検査手技と骨髄像の読みが,いずれもできない医師を想定し,独断的な編集方針を採って,悪性腫瘍を対象外とした。その代わり,内科医が共通に実行できる最も幅広い内容を追求しようとしたので,データ異常と臓器症候の全般,および炎症性病態を重視し,稀な疾患でも名称には言及し,頁数と疾患頻度も比例していない。

生理・病理検査については,実行できなくてもレポートの意味は一般医が解釈できるであろう。内科当直医と病棟医が“対応”すべき課題全般,特に喘息,糖尿病,感染症,下痢,電解質異常の“治療”はむろん,血算異常,内分泌異常,腎障害,腹痛,神経障害,熱性疾患,リウマチ性疾患を“診断”することも,一般内科の範囲とみなせる。感染症かどうかの“判断”,膠原病の“確定診断”,悪性リンパ腫の“推定”は一般医に可能であり,これらの課題を回避したら,熱性疾患一般という内科診療の基本が完結しない。

€自分の診療範囲を広げることに関心があり,研修医の頃の新鮮さを取り戻したいと思う医師にとって,本書が現場で有用であること,反論も含めて議論の素材になることを願っている。

€2011年9月€

編者代表 三森明夫

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レビュー

【書評】総合診療に向き合うすべての医師のために

高田真行(東京有明メディカルクリニック院長)
昨今の医療現場では,専門領域に閉じこもり,総合診療には背を向ける医師が大多数を占め,医療が隙間だらけになりつつある。この本が,「総合診療」を強く意識して書かれている理由はここにあるのだろう。

そもそも,仕事には「私の仕事」と「あなたの仕事」のほかに,「誰のでもない仕事」として,とかくおろそかにされがちだけれど,その実,次元の異なる重要さを持った仕事がある。そして,ある組織(ここでは医療組織)がその機能と使命を十全に果たせるか否かは,この「誰のでもない仕事」に,意識的に取り組む人間が組織の中にどれほどいるかにかかってくる,そういった状況が厳存する。医療における総合診療という仕事と,それに積極的に取り組む医師の存在が,まさにこれに当たるのである。しかし,ここで肝心なことは,彼ら総合診療医を,既存の各種専門医と横並びの専門医と位置づけないことである。隙間を埋める専門医集団を1つ増やすだけでは無意味だからである。

医師になって最初の10年余は外科専門医,その後30余年は外科兼総合診療医として働いてきた実体験から言えば,総合診療医としての力量は,期限つきの研修や,誰かに手ほどきを受けるといった受動的な仕方で達成されるものではない。そうではなくて,専門を極める修練ないし専門的医療行為と同時進行的に,より能動的に総合診療に取り組まない限り,達成されないものなのである。

本書は,総合診療に取り組むことを,医師としての責務と考えている各種専門医達はむろんのこと,発展途上の医師達にとっても,一度手にしたら手放すことのできない,総合診療ハンドブックと言えよう。

最後に,「急性腹症」の記述を一読した現役の外科医が,一点の非の打ちどころもないこの記述は,とても内科医の手によるものとは思えないと絶賛していたことを付記しておこう。

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使える本です

Amazonブックレビュー
内科全体をまとめてあり、わかりやすくできています。ワシントンマニュアルよりもどちらかといえば好きです。現実的な治療法が載っていて使えます。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

 

このたびは『国立国際医療研究センター内科ハンドブック 総合的内科診療の原理と実践』をご購入いただきまして誠にありがとうございます。本書に以下の誤りがございましたので、ここに訂正させていただきますとともに深くお詫び申し上げます。

該当箇所
p9
24行目
(=10μg/mL)→0.5〜2mL/minで静注 (=100μg/mL)→3〜12mL/hr=0.05〜0.2mL/minで静注
p134
11行目
喪失した水分量 0.6×W’×(1−140/Na測定値) 喪失した水分量0.6×W’×(1−140/Na測定値)
p301
4行目 
3.5L(1L=106μL) 3.5L(1L=106μL)
p323
10行目
殴打痛  打痛
p362
1〜2行目
日和見感染症(PCP,CMV,PML) 下線部分を削除

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