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不正咬合

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-12
田村英俊 (亀田総合病院歯科口腔外科部長)
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  • ■疾患メモ

    咬合は上顎と下顎の歯列が咬み合うことで成立する。

    上顎骨は頭蓋に固定されているが,下顎骨は側頭骨の下顎窩とで構成される顎関節を介して頭蓋骨と接続し,咀嚼筋などと協調しながら顎運動を行う。

    不正咬合とは,顎顔面,歯牙などが,何らかの原因でその形態と発育と機能に異常をきたし,その結果,正常な咬合機能を営み得ない咬合状態の総称である。

    不正咬合のあり方は多種多様であって,正常咬合との区別も正常咬合の基準をどこに置くかによって異なってくる。

    歯科医師が考える不正咬合は狭義に用いられることが多く,歯科矯正学を中心として定義されるが,医科を含み広義に解釈すると,先天的あるいは後天的原因によって生じる,あらゆる歯科疾患において不正咬合は発現しうる,たとえば,顎関節症や顎関節脱臼,顎骨骨折,顎変形症,顎骨腫瘍,齲蝕,歯周病などの結果,不正咬合が現れる。これらの疾患については各項目でも述べられているので,参照して頂きたい。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    開閉口障害,咀嚼障害などの機能障害を訴えることが多いが,頭痛や頸部痛,肩こりを訴えて来院する場合もある。

    【検査所見】

    問診:不正咬合に伴う症状が突発的に発現したのか,長期にわたり徐々に増悪したものなのか,問診で明らかにする必要がある。突発的なものであれば外傷が原因の不正咬合であることが多く,上下顎骨骨折や歯槽骨骨折,歯牙の破折脱臼などが外傷の原因になっている。長期的に増悪したものであれば,顎関節症や歯周病,う蝕症などが原因の不正咬合であることが多く,歯牙の欠損や傾斜,咬合が低位になるなどの所見を伴う。その他,先天的または後天的な顎変形や顎発育異常が原因の不正咬合もあり,慢性的な経過をたどり,徐々に機能障害が発現する。

    顔貌や口腔内の所見:歯科矯正学的には第一大臼歯の咬合関係で評価する方法(Angle分類)が一般的である()。顔貌の非対称,上下顎の形態異常や咬合平面の傾斜,歯牙の欠損,不良歯科補綴物の存在を認めるなど,所見は様々である。

    19_21_不正咬合

    X線所見:不正咬合の原疾患特有のX線所見を認める。たとえば,顎変形症であれば,頭部X線規格写真で上下顎骨の変形や発育異常を認める。顎骨骨折であれば,骨の連続性の断裂が認められる。

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