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侵襲性歯周炎[私の治療]

No.5104 (2022年02月19日発行) P.45

恩田健志 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座講師)

登録日: 2022-02-22

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  • 全身的には健康であるが,歯周組織の破壊が急速に進行する歯周炎である。以前は若年性歯周炎や急速進行性歯周炎と呼ばれていたが,年齢に関係なく存在することから1999年に米国歯周病学会が両者を併せてaggressive periodontitisと命名し,分類した。これを日本語訳した病名が「侵襲性歯周炎」である。

    1999年の分類では,歯周炎は,慢性歯周炎,侵襲性歯周炎,壊死性潰瘍性歯周炎,全身疾患関連歯周炎,歯周膿瘍,の5つに大別されたが,2017年に米国歯周病学会と欧州歯周病学会が発表した歯周疾患の新分類では,慢性歯周炎と侵襲性歯周炎が1つの歯周炎として分類され,分類は4つとなった。なお,まとめられた新分類の「歯周炎」は,グレードとステージによって疾患の状態を表現する方法に変更された。

    慢性歯周炎と侵襲性歯周炎の相違について様々な研究が行われてきたが,明確に判定可能なバイオマーカーはいまだなく,2021年の本稿執筆時点では,慢性歯周炎と侵襲性歯周炎を明確に判別することはできない。
    侵襲性歯周炎には限局型と広汎型がある。また,慢性歯周炎と比較して,宿主因子および遺伝的素因が病態に占める割合が高い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    歯周ポケットの形成,アタッチメントロス,歯槽骨の吸収等の歯周組織破壊が急速に進行し,それに伴い歯の動揺が認められる。

    全身的には健康であり,歯周病のリスクファクターとなる全身疾患はない。また,類似した重度の歯周病が家族にみられる(家族内発症)。10~30歳代で発症することが多いが,病状進行に対してプラークの付着量は少ない。時に,生体防御機能,免疫応答に異常が認められることがある。

    【検査所見】

    歯周病原細菌,特にAggregatibacter actinomycetemcomitans,Porphyromonas gingivalisが検出されることが多い。

    限局型は思春期前後に発症し,感染因子に対する著明な血清抗体反応がある。第一大臼歯と切歯に限局した隣接面アタッチメントロスが2本の永久歯に発症し,そのうちの1歯は第一大臼歯で,病変範囲は2歯までである。

    広汎型は通常30歳以下,またはそれ以上での発症もある。感染因子に対する血清抗体反応は弱く,アタッチメントロスと歯槽骨の破壊吸収がある。第一大臼歯と切歯以外の部位で,3歯以上のアタッチメントロスがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    基本的に通常の歯周炎と同じであり,特にプラークコントロールを徹底させることが重要である。進行が速いので早期発見・早期治療が大切である。歯周基本治療を十分に行い,再評価後,必要に応じて歯周外科治療を行う。白血球の機能低下等がみられる場合,細菌に対する抵抗力が弱いため,患者にその旨を十分に説明して口腔清掃を徹底させる。

    歯周ポケット内細菌叢にグラム陰性の嫌気性菌が多く存在するため,スケーリング・ルートプレーニングによるポケット内根面の清掃と,局所薬物配送システム(LDDS)を用いたテトラサイクリン系やメトロニダゾール等の抗菌薬による細菌叢の正常化を併行して行うと有効である。

    治療反応性が不良な広汎型の歯周炎症例および喫煙,血糖コントロール不良,冠動脈疾患を有する中等度~重度歯周炎患者に対する細菌検査に基づいた経口抗菌薬の応用は,臨床的に有意な改善効果が認められている。

    限局型の場合には,早期に歯周治療を行うことにより多くの症例で改善をみる。広汎型の場合や,通常の歯周治療で反応がよくない場合には,歯肉縁下プラーク中の歯周病原細菌をモニターし,抗菌薬を併用する。

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