株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

口腔カンジダ症[私の治療]

No.5207 (2024年02月10日発行) P.46

三邉正樹 (東京歯科大学口腔腫瘍外科学講座)

登録日: 2024-02-13

最終更新日: 2024-02-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 口腔カンジダ症は,カンジダ属菌種の主にCandida albicansにより引き起こされる内因性の日和見感染症である。カンジダは口腔内常在菌であるが,局所的要因(口腔乾燥,口腔清掃不良,不衛生な義歯,局所・吸入ステロイド,喫煙など)あるいは全身的要因(抗菌薬やステロイドなどの免疫抑制薬,抗癌剤,悪性腫瘍,AIDS,糖尿病,加齢,低栄養など)により感染が成立する。肥厚性カンジダ症などの慢性カンジダ症は,口腔潜在的悪性疾患(oral potentially malignant disorders:OPMDs)のひとつである。

    ▶診断のポイント

    白いカンジダ症(偽膜性カンジダ症),赤いカンジダ症(紅斑性カンジダ症),厚いカンジダ症(肥厚性カンジダ症),カンジダ関連病変(カンジダ性口角炎,正中菱形舌炎)に分類される。偽膜性カンジダ症は剝離可能な白苔が特徴で,最も一般的である。紅斑性カンジダ症はCandida glabrataという菌糸をつくらない酵母型の真菌が関与する場合や,義歯床下粘膜に生じる場合などがある。また,真菌の増殖過程を反映している場合があり,視診だけでの診断は困難なため,顕微鏡検査や培養検査にて診断する。舌背では舌乳頭が萎縮し平滑舌をきたし,摂食痛や灼熱痛,味覚障害を生じることがある。義歯性では義歯床下粘膜と一致して生じる。清掃の悪い義歯はカンジダのリザーバーとなる。口角炎はカンジダ症が原因のことも多い。正中菱形舌炎は慢性カンジダ症と考えられている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    薬物療法において,口腔カンジダ症に使用される薬は,ポリエンマクロライド系の①ファンギゾンシロップ100mg/mL(アムホテリシンB),アゾール系の②フロリードゲル経口用2%(ミコナゾール),③オラビ50mg錠口腔用(ミコナゾール),④イトリゾール内用液1%(イトラコナゾール),⑤イトリゾール50mgカプセル(イトラコナゾール)が挙げられる。抗真菌薬はすべて内服薬であるが,イトラコナゾール以外の薬剤の血液濃度は内服量に相関せず,薬物動態は局所療法である。口腔カンジダ症は多くが浅在性であるが,肥厚性カンジダ症は深在性に分類され,全身療法が必要であるため,イトラコナゾールを使用する。②~④は他剤との相互作用を生じることが多いため,併用薬に注意が必要である。

    治療後も再燃を繰り返す症例を認め,長期投与や繰り返し投与により薬剤耐性のリスクもあるため,口腔カンジダ症を予防する必要がある。近年,免疫調整作用が高く生物学的応答調節物質として注目されている乳酸菌Enterococcus faecalis-2001(EF-2001)の口腔カンジダ症に対する有効性が培養実験と臨床試験で示されており,口腔カンジダ症の予防法として期待される。

    残り1,043文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連物件情報

    もっと見る

    page top