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悪性骨腫瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-20
下瀬省二 (呉医療センター・中国がんセンター整形外科統括診療部長)
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  • ■疾患メモ

    骨腫瘍を診断するには,好発年齢,好発部位,局在を念頭に置き,X線所見から腫瘍の発育速度を推測し,良・悪性を判断する必要がある。悪性が疑われたらMRIを撮像し,生検により病理組織診断を確定する1)

    原発性悪性骨腫瘍で最も多いのは骨肉腫である。骨肉腫は,腫瘍細胞が類骨あるいは骨組織を形成する悪性腫瘍と定義されている。発生頻度は,骨肉腫が人口100万人当たり年間2~3人である2)。ついで,軟骨を形成する軟骨肉腫,円形細胞腫瘍である骨髄腫,悪性リンパ腫,Ewing肉腫が続き,さらに脊索腫の順となっている。

    好発年齢:骨肉腫,Ewing肉腫が10歳代,軟骨肉腫,骨髄腫,悪性リンパ腫,脊索腫が60歳代である。

    好発部位:それぞれ以下のような順である3)

    ・骨肉腫:膝(大腿骨遠位,脛骨近位),腸骨,上腕骨の順。

    ・軟骨肉腫:膝,肋骨,腸骨,上腕骨の順。

    ・骨髄腫:脊椎,上腕骨,腸骨の順。

    ・悪性リンパ腫:脊椎,膝,腸骨の順。

    ・Ewing肉腫:腸骨,膝,肋骨の順。

    ・脊索腫:多くが仙骨に発生。

    局在:骨肉腫が骨幹端部に,軟骨肉腫とEwing肉腫が骨幹部に多い。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    運動時の痛みで発症し,しだいに痛みが増強し安静時痛も出現する。進行すると腫脹や骨折(病的骨折)を生じる。

    【検査所見】

    〈血液検査〉

    一般に血液検査では異常を示さない。しかし,骨肉腫ではアルカリフォスファターゼ(ALP),悪性リンパ腫ではインターロイキン(IL)-2受容体,Ewing肉腫ではLDH,CRPの上昇を認めることがある。

    〈X線〉

    骨破壊像,皮質骨の変化,骨膜反応,骨外病変,反応性骨硬化,病巣内石灰化などを観察し,腫瘍の発育速度を推測する4)

    骨破壊像:以下のような特徴がみられる。虫食い状,浸透状は悪性の所見,地図状は良性,もしくは低悪性の所見。

    ・発育の遅い腫瘍:正常骨髄と明瞭な境界を形成する(地図状)。

    ・発育の速い腫瘍:骨髄との境界面に虫が食べたような不整面を生じる(虫食い状)。

    ・さらに発育の速い腫瘍:骨髄の中を浸透するように広がり,境界面がほとんどわからなくなる(浸透状)。

    発育の遅い腫瘍では,皮質骨に反応性変化を生じ(破骨細胞による骨吸収,骨芽細胞による骨新生),皮質骨は皮殻状に非薄化・膨隆する。発育の速い腫瘍では,皮質骨の反応性変化が生じる前に骨外に進展する。

    骨膜反応は,腫瘍の発育刺激によって骨膜に新生骨が沈着する現象である。一般に単層の骨形成は良性にみられる。悪性では,玉ねぎ皮様(多層の骨形成),スピクラ(腫瘍の発育に沿う骨形成),Codman三角(腫瘍により持ち上げられた骨膜下の三角形の骨形成)などがみられる(図a)。

    15_80_悪性骨腫瘍

    骨硬化像が腫瘍の外縁に均一にみられる場合は,腫瘍がゆっくり発育したことを示す。発育が速いと,腫瘍の外縁には骨硬化像がみられない。また,石灰化の様式には軟骨基質性と類骨性がある。軟骨基質性では点状,リング状,類骨性では雲状,象牙状の石灰化がみられる。

    〈CT〉

    CTは,X線でとらえられないような微細な皮質骨の変化,骨膜反応,骨化・石灰化を描出可能である。任意の断面の画像再構成や3次元画像表示を用いれば,複雑な構造の骨盤や脊椎の立体的把握が容易となる。

    〈MRI〉

    腫瘍は,T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示すものが多い。T1強調像では,低信号の腫瘍と高信号を示す骨髄とはコントラストがつきやすく,腫瘍の広がりを評価しやすい。MRIは腫瘍の範囲,血管・神経との位置関係を把握するのに有用であり,術前計画に必須の検査である(図b)。

    15_80_悪性骨腫瘍

    〈生検〉

    針生検と切開生検があり,いずれも切除手術を想定して,最適な部位から必要十分な組織を採取することが重要である。病歴,臨床所見,検査所見,画像所見と病理組織所見を総合的に判断して診断を確定する。

    【診断】

    痛みの部位・性状について病歴を聴取する。X線の骨破壊像,骨膜反応,骨硬化像などで腫瘍の発育速度を推測し,場合により血液検査でALP,IL-2R,LDH,CRPをチェックする。悪性が疑われたら,MRI撮像後,生検により診断を確定する。

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