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乳酸アシドーシス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-30
松田昌文 (埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科教授)
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  • ■疾患メモ

    乳酸の正常値は4~14mg/dL(0.4~1.6mM)で,ピルビン酸(約1/10の濃度)と均衡を保つ。

    人間が死ぬときは皆,乳酸アシドーシスとなる。

    患者家族に予後が悪い(致死率約50%)ことを説明する。

    乳酸アシドーシスの分類を以下に示す。

    ・乳酸アシドーシスA型:組織循環不全(低酸素血症)

     ショック(心原性,エンドトキシン,循環血液量減少),重症貧血,心不全,窒息,一酸化炭素中毒など

    ・乳酸アシドーシスB型:代謝性(非低酸素血症)

     B1型 基礎疾患(糖尿病,悪性疾患,肝疾患,敗血症,エイズなど)

     B2型 薬剤性(ビグアナイド薬,フルクトース,ソルビトール,キシリトールなど)

     B3型 遺伝子異常に基づく代謝疾患(glucose-6-phosphatase欠損など)

    ・そのほか

     D型乳酸アシドーシス(小腸摘除後のグラム陽性細菌の過剰繁殖)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    急激に発症し,食欲不振,吐気・嘔吐,下痢,腹部膨満感,腹痛といった消化器症状が乳酸アシドーシスの初期症状としてみられることもある。

    過呼吸,脱水,血管虚脱(低血圧,頻脈),低体温を認め,傾眠から昏睡に至る。

    【検査所見】

    乳酸アシドーシスは,乳酸が5mM以上,血液pHが7.35以下となる状態と定義される。

    尿ケトン陰性,FFAやBUNの増加なく,アニオンギャップの上昇,乳酸値上昇,乳酸/ピルビン酸比の上昇が乳酸アシドーシスの診断を支持する。

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