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胸膜炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
山谷睦雄 (東北大学大学院医学系研究科先進感染症予防学寄附講座教授)
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  • ■疾患メモ

    胸膜に生じる炎症を胸膜炎と呼ぶ。通常は胸水を伴う1)

    胸膜炎の原因として,細菌感染,結核感染,腫瘍,肺梗塞,膠原病などがある。

    胸痛の症状として,胸痛や呼吸困難(特に体動時)がある。心不全や,種々の疾患に伴う低蛋白血症など,漏出性の胸水貯留を鑑別する必要がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    原因にかかわらず,胸痛や呼吸困難(特に,体動時)が共通している。

    肺炎などの感染症に合併する場合は発熱や咳・痰などの呼吸器症状が伴う。

    肺結核に合併する場合は長引く咳・痰などの呼吸器症状に加えて,血痰や微熱を伴うことがある。

    膠原病の合併では関節痛や皮膚症状など,背景疾患の症状を伴う。

    また,背景疾患の診断の過程で発見され,胸膜炎の症状を伴わない症例もある。

    【検査所見】

    〈画像診断〉

    胸部X線や胸部CTで胸水貯留を確認する。

    胸部X線では立位で肋骨横隔膜角の鈍化,胸部CTでは縦隔条件で肺と胸壁の間に水の貯留を確認する。

    肺炎や肺癌の合併例では病変の存在する側に胸水を認める。

    CTでは多房性の有無,肺内病変・膿瘍形成・中枢気道閉塞の有無などのチェックも必要である。

    〈炎症所見〉

    肺炎や結核では 血清CRPや末梢血白血球数の増加などの炎症反応を認める。

    〈胸水検査〉

    細菌性胸膜炎が疑われ胸水が多量に貯留する場合や,結核性や癌性胸膜炎を疑う場合は胸水検査の対象となる。少量の胸水貯留では超音波検査下で穿刺すると安全に胸水が採取できる。

    肺炎に伴う少量の胸水の場合は肺炎の治療による経過観察を優先し,胸水検査を行わないことが多い(下記,胸水ADAやpH,ブドウ糖の診断基準値は報告により異なる。また,ADAは結核以外の疾患でも上昇することを考慮)。

    胸膜炎の鑑別:胸膜炎では滲出性の性状を呈する。胸水の蛋白・LDHの増加が特徴である。胸水蛋白値/血清蛋白値>0.5,胸水LDH値/血清LDH値>0.6,胸水LDH値が血清LDH正常上限値の2/3以上,の3つのうち1つ以上が滲出性胸水の基準となる(Lightの基準)。

    細菌性胸膜炎:細菌が肺内にとどまる場合(単純性肺炎随伴胸水)は好中球を含む肺間質液が胸腔に貯留する。細菌が胸腔内に増殖する場合(複雑性肺炎随伴胸水),好中球の増加やpHの低下(<7.20),ブドウ糖値の低下(<60mg/dL),LDH値の増加を認める。性状検査に加えて細菌検査も実施する。好気性菌に加えて,嫌気性菌が検出される症例もある。膿が貯留する場合は膿胸と診断される。

    結核性胸膜炎:滲出性胸水の性状に加えて,リンパ球の優位,胸水のアデノシンデアミナーゼ(adenosine deami
    nase:ADA)の増加(40U/L以上)などが特徴である。診断のために胸水の結核菌の塗抹や培養,PCRによる結核菌の検出が必要であるが,陰性の症例も多い。クォンティフェロン®も参考になる。

    癌性胸膜炎:滲出性胸水の性状に加えて,血性胸水になることがある。細胞診で診断を行うが,陰性の症例も多い。

    〈胸膜生検〉

    結核性胸膜炎や癌性胸膜炎が疑われ,胸水検査で結核菌や癌細胞が陰性の場合に胸膜生検(胸腔鏡下での胸膜生検も含む)を行う。

    生検標本を用いた組織診,細胞診,結核菌検査が行われる。

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