12.2%、これは総務省統計局が発表した2019年2月のわが国の人口に占める15歳未満の割合である。1987年までは20%以上を保っていたので、約30年の平成年間に少子化が急激に進んだことがわかる。この間、少子高齢化に限らず社会の変化は大きく、家族形態の変化や子育て世代の所得の伸び悩みなど子どもを取り巻く環境も変わり、育児に対する不安や困難も複雑化している。
子どもの誕生を祝うとほぼ同時に、子どもとその養育者には種々の悩みや不安が生じてくる。乳幼児期には母乳問題や保育所問題、発育発達、繰り返す感染症、就学すると低身長など健診で指摘される異常や不登校、さらには思春期の問題など懸念されることは枚挙にいとまがない。小児科医は、出生直後や1か月健診から子どもとその養育者との関係が始まり、予防接種や健診、日常の診察などを通じてその子どもを見守り、疾病のみならず成長に寄り添っている。子どもたちの日々の成長に寄り添いその一助となることは、小児医療に携わる者にとって大きな喜びである。しかし、保育園・学校と、子どもの行動と生活の範囲が広がるにつれて、子どもや養育者の悩みは多様化・複雑化し、アプローチしにくくなっていく。
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