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『スプリガン』作者の皆川さんとの話[エッセイ]

No.5207 (2024年02月10日発行) P.63

岡本洋幸 (在パキスタン日本国大使館医務官(医学博士))

登録日: 2024-02-11

最終更新日: 2024-02-06

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漫画家の皆川亮二さんは、累計1000万部以上の『スプリガン』(1989~96年)や累計1500万部以上の『ARMS』(1997~2002年)で有名な方です。『スプリガン』は、2023年に地上波でアニメが放送されました。

それぞれの内容は以下の通りです。

スプリガン:超古代の技術や遺跡をめぐる闘いで、「我々の残した遺産を、悪しき者より守れ」という超古代文明の人々からのメッセージを受け、主人公たちが活躍する話です。

ARMS:『不思議の国のアリス』に出てくる名前をモチーフに、体にナノマシーンを埋め込まれた少年たちが世界的な陰謀に立ち向かう話です。

医学の世界でもそうですが、科学技術の発達は大きな力をもたらします。他方、力を行使するものがどのような信念で扱うかで、結果は大きく異なります。良い未来を信じて、その時その時に集中して精一杯自分を含めた多くの方が幸せになるために生きる主人公たちの姿には、とても勇気を頂きました。

作者自身も、『スプリガン』も『ARMS』も雑誌連載中の人気は最下位のほうで、いつ打ち切りになるかわからない状況の中、投げやりにならずに全力投球でメッセージ性に配慮しながら継続していたそうです。結果的に実は固定ファンがいて、大成功されています。

「本当にファンがいるのか自分でもよく実感がわかないんですよ、1人でもファンと言われる方に会えるのがとてもうれしいのです」と気さくに、笑顔で話してくれました。

最後に小官からは、皆川さんの作品にちなんで、以下の話を紹介いたします。かつてパキスタンのガンダーラ地域は、世界四大文明であるインダス文明が栄え、下水道や貨幣経済さえも存在しました。しかし、いつしか衰え、今では貧しさにとても苦しんでいます。

この地域は仏教も盛んでした。かつてお釈迦様が托鉢した際に、泥遊びをしていた小さな子どもが泥団子を布施したそうです。弟子たちが子どもに“なんてことをするのだ”と感じたそのときに、お釈迦様のみが笑顔であり、理由を聞くと、この子どもが泥団子を布施した功徳で100年後大王となりアショーカ王として仏教を繁栄させることを予言されました。事実、アショーカ王が現れ、多くのストゥーパ(お釈迦様の遺骨を納めたもの)などをつくるなど、大いに繁栄させました。アショーカ王自体は、最後まで布施に熱心で、力を失い、最後はマンゴー半分のみを自由にできる身となりましたが、そのマンゴーを仏教教団に施しました。信念を貫く姿勢は素晴らしいと感じました。

(本稿における見解は、個人の見解であり所属する団体の見解ではありません)

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