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急増する糖尿病性足潰瘍へのアプローチ【アジア人向けの簡潔な病態分類法として「神戸分類」を提唱】

No.4906 (2018年05月05日発行) P.53

大澤沙由理 (神戸大学形成外科)

寺師浩人 (神戸大学形成外科教授)

登録日: 2018-05-08

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糖尿病患者は,予備軍も含めるとわが国に約1000万人いると推計されており,中国では1億人を突破するなど,アジア全体で急増している。それに伴い糖尿病性足潰瘍も増加しているが,欧米における足病医(足病変を専門に扱う医師)がアジアにはほとんどいない上に,集学的治療を行う施設も整っていない。そのため筆者らは,足病医ではない医師でも治療へのアプローチがわかりやすくなるように,アジア人向けの簡潔な糖尿病性足潰瘍の病態分類として神戸分類1)を提唱した。

糖尿病性足潰瘍の病因は,末梢神経障害,末梢血行障害(末梢動脈疾患),感染症,の3つにわけられる。この3つの病因から4つの病態が形成されるため,末梢神経障害が主体のものをtypeⅠ,末梢動脈疾患が主体のものをtypeⅡ,感染症が主体のものをtypeⅢ,3つの病因が混在しているものをtypeⅣと分類した。typeⅠでは,多発末梢神経障害により胼胝下潰瘍,亀裂,足の様々な変形などから潰瘍を形成するため,治療の中心はフットウェア作製も含めたフットケアである。typeⅡはいわゆる重症下肢虚血であるため,皮膚灌流圧(SPP)が30mmHg以下の場合は,局所手術の前に必ず血行再建を先行させる。typeⅢでは抗菌薬投与と手術加療が中心となる。typeⅣの場合は,SPP値が30mmHg以下ではまず血行再建を行うが,血行再建後は感染症が増悪する可能性が高いため,再建後早期の局所手術や抗菌薬投与などでコントロールする必要がある。

【文献】

1) 寺師浩人, 他:医のあゆみ. 2012;240(11):881-7.

【解説】

大澤沙由理*1,寺師浩人*2 *1神戸大学形成外科 *2同教授

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