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福岡市がオンライン診療実証事業の結果報告―長柄福岡市医師会長「今後の動向をしっかり見守っていきたい」

登録日: 2018-03-13

最終更新日: 2018-03-13

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  福岡市と福岡市医師会、医療法人鉄祐会は5日、「福岡市健康先進都市戦略」の一環として実施した「ICTを活用した『かかりつけ医』機能強化事業」の実証結果報告会を開催した。開会の挨拶に立った同市医師会の長柄均会長は、対面診療の補完としてオンライン診療が果たす役割を一定程度評価。「最初は少し慎重に、対象疾患とルールをしっかり決めて、まずはスタートしてみる」との方針を示した上で、「安心安全な運用といった部分の信頼を損ねるようなことがあってはならず、医師会としても今後の動向をしっかり見守っていきたい」と述べた。

 実証事業は2017年4月から今年3月にかけて実施。約20医療機関が参加した。株式会社インテグリティ・ヘルスケアの運用するオンライン診療システム「YaDoc(ヤードック)」を活用することで「患者情報の的確な把握」や「医療アクセシビリティの向上」を実現し、かかりつけ医と患者のコミュニケーションの質を高め、継続的な受診につなげることを目的として行われた。有用性や安全性の検証に当たっては、医療機関に対し「オンライン問診」「モニタリング」「オンライン診察」に関するアンケート調査をそれぞれ実施した。利用者の平均年齢は65.7歳で、75歳以上が50%を占めた。年齢階級別の疾患でもっとも多かったのは、85~94歳が認知症、75~84歳は循環器系の疾患、65~74歳と55~64歳はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)だった。

半数以上が「これまで以上に患者情報を聞き出せるようになった」と回答

 5日の報告会では、鉄祐会の武藤真祐理事長が実証結果を説明した。「オンライン問診」による診察内容の質的向上に関する質問では、半数以上が「患者の症状や状態について、これまで以上に情報を聞き出せるようになった」「問診情報を基に症状の増悪を判断できるようになった」と回答し、また診察プロセスの効率化についても、時間短縮などを評価する意見が多数を占めたことを紹介した。

 また、武藤氏は「オンライン診察」で想定されるケースを「勤労者の外来診療」「高齢者の外来診療」「在宅医療」の3つに大別。導入医療機関からは、勤労者の外来診療はアクセシビリティの向上により重症化予防に有用、高齢者の外来診療は通院介助など介護者の負担を軽減することができる、といった意見が寄せられたことを紹介した。

 一方、勤労者の外来診療においては、患者の利便性だけでなく個々の事情を鑑み医師が判断することの重要性を指摘。あくまで対面診療の補完的位置づけであるとの認識を示した。

2018年度改定の討議資料として活用

 2018年度診療報酬改定では、医学管理目的でのオンライン診療に関する評価として「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」「オンライン在宅管理料」などが新設。最低6カ月以上、継続的かつ計画的に医学管理を行っている患者に対して、オンライン診療の併用が認められた。18年度改定を巡る中央社会保険医療協議会の議論では、福岡市の実証事業の中間取りまとめの内容が会議資料として活用された。厚生労働省は3月末までにオンライン診療の取り扱いを示すガイドラインを公表する方針だ。

4月からの保険適用にあたり「正確に、安全に運用を開始してほしい」と呼びかける長柄氏

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