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「全世代型」社会保障への方向転換を【厚生労働白書】

登録日: 2017-10-25

最終更新日: 2017-10-25

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厚生労働省は24日、「平成29年版厚生労働白書」を公表し、あらゆる世代が公平に負担し、恩恵を感じられる「全世代型」社会保障への方向転換を図るべきだとした。

白書のテーマは「社会保障と経済成長」。昨年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の「成長と分配の好循環」の実現に向け、成長という観点から社会保障全般を考える必要性を示し、少子高齢化に伴う労働供給の減少への対応として、多様な個人の労働参加と能力発揮を促すことで経済成長の加速が期待できると指摘した。その上で、社会保障は経済成長の単なるセーフティネットではなく、すべての人が希望に応じて社会で活躍するための「後押し役」だとして、育児や介護、がんをはじめとする疾病などを抱えていても仕事を続けられる環境整備の推進を求めた。

社会保障のあり方について白書は、生産年齢人口の減少が経済成長の制約要因となる中で、経済の支え手となる現役世代が将来にわたって安心できるかどうかの観点から検討する必要性を指摘している。ここ20年の世帯総所得の動向を分析した結果、現役世代では、世帯総所得が300万円未満の世帯が増加している一方で、高齢世代では、世帯総所得が100万円未満の世帯割合が減少、200~500万円未満の世帯割合が増加しているとのデータを示し、これまで世代間再分配を中心に構築されてきた社会保障は、今後、人口高齢化に伴い現役世代の負担が過重となると懸念。その上で、「あらゆる世代が負担能力に応じて公平に負担を分かち合い、同時に恩恵を感じられる“全世代型”社会保障への方向転換をさらに進めていく必要性」を明記した。

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