株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

2014年度改定で中医協が答申─「2025年に向けた地域包括ケア体制構築」【どうなる?診療報酬改定】

No.4686 (2014年02月15日発行) P.8

登録日: 2014-02-15

最終更新日: 2017-09-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【概要】中医協は診療報酬改定の内容を取りまとめ、田村厚労相に答申した。厚労省は今改定を「2025年に向けた医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築」と位置づけている。

2014年度診療報酬改定は、昨年12月の閣僚折衝の結果、消費税率3%増への対応分を含め診療報酬本体0.73%、薬価等を含めた全体(ネット)0.1%で決着したが、消費税対応分を除くネットではマイナス1.26%と実質的には6年ぶりのマイナス改定となった。

消費税率引上げへの対応分は、ほぼ全額を基本診療料に上乗せする形となり、初診料は282点、再診料は72点とされた。


地域包括診療料1503点、加算20点

12日の中医協総会で厚労省は個別改定項目の最終案(別掲)を示し、外来分野で注目されていた中小病院と診療所の主治医機能を包括評価する「地域包括診療料」は1503点とされた。診療所が対象の「地域包括診療加算」は20点。再診料の加算となり同診療料に比べ、在宅要件などが緩和されている。どちらも複数の慢性疾患を持つ患者への一元的な服薬指導や健康管理などの評価を行うことで、外来の機能分化を促進するのが目的。

亜急性期入院医療管理料の廃止に伴い新設される「地域包括ケア病棟入院料1」「同入院料2」はそれぞれ2558点、2058点とされた。亜急性期入院医療管理料から大幅に引き上げられるが、地域包括ケアの重要な担い手との位置づけから施設基準に在宅復帰率7割以上とする要件が盛り込まれるなど、地域医療への貢献がより求められる形となった。

今改定で手厚い評価が行われた有床診療所については、現行の「有床診療所入院基本料3」に該当する「同入院料6」で、31日以上の場合を351点から450点に引き上げる。在宅分野では実績重視の観点から、在支病・在支診の緊急往診や看取り実績を評価する「在宅療養実績加算」が新設。緊急、夜間・深夜の往診については75点の加算となる。

一方、「在宅医療の不適切事例」については適正化を図るため、「在宅時医学総合管理料」「特定施設入居時医学総合管理料」に同一建物・複数訪問時の点数を新設。同一建物以外の場合に比べ4分の1程度に引き下げられる。

中医協はこれらの内容を了承し、正式に答申書(診療報酬点数表の改定案)を取りまとめた。中医協の答申を受け、厚労省は改定の4月実施に向け、3月上旬に関係告示・通知を出す方針。

「地域包括ケアに向け意義のある改定」

答申に当たって、支払側委員を代表して発言した白川修二委員(健保連)は消費税率引上げへの対応について「極めて遺憾」と改めて強調。今後の課題として、▽消費税率10%への引上げ時の対応、▽全医療機関の明細書無料発行義務化、▽費用対効果評価の試行導入―を挙げ、積極的に議論すべきとした。

診療側は鈴木邦彦委員(日医)が「消費税対応分を除くと地域医療再興のための十分な財源が確保されたとは言い難い」としつつ、「超高齢社会への最重要課題である地域包括ケアシステム確立に向け意義のある改定ができた」と総括。一方、今改定が誘導色の強いものとなっている点にも触れ、「改定の附帯意見にあるように影響を検証する必要がある」と指摘し、「状況に応じて適切な対応を講じる必要がある」とした。
(答申書の内容については次号詳報)

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top