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傍腫瘍症候群【がん患者の増加により,今後眼科領域でも診察機会の増加が見込まれる視覚障害】

No.4861 (2017年06月24日発行) P.50

澤村裕正 (東京大学眼科講師)

登録日: 2017-06-21

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高齢化および医療技術の発達に伴い,がんに罹患する患者の数は増加傾向にある。合併する頻度は少なく稀ではあるものの,母集団の増加に伴い眼科領域でも傍腫瘍症候群を診る機会が今後増えてくると考えられる。

傍腫瘍症候群は,網膜症や神経症,視神経周囲炎をきたし,視力障害,視野障害などの視覚障害を生じる。脳幹部にも影響が及ぶと,眼球運動障害を生じる場合がある。原因としてはいまだ明らかになっていないことが多いものの,肺癌,乳癌,前立腺癌をはじめとした,がん細胞に発現した共通抗原に対する自己抗体を原因とする機序が考えられており,その自己抗体も抗リカバリン抗体,抗CRMP-5抗体など,いくつか明らかになってきている。商業用として測定が可能になっている自己抗体もあり,診断の一助となっている。

傍腫瘍症候群を疑うサインとしては,自覚症状として無痛性の進行性視覚障害,光視症,夜盲症などが挙げられ,他覚的所見としては,OCT画像での網膜ellipsoid zoneの欠損・消失,両側性の乳頭浮腫,硝子体炎などが挙げられる。患者の中には,視覚障害で最初に眼科を受診し,その後の精査でがんが見つかる場合もある。予後は一般的に不良なことが多いが,原疾患の治療が必須なため,早期の診断が重要である。

【参考】

▶ Gordon LK:J Neuroophthalmol. 2015;35(3): 306-14.

▶ Igarashi N, et al:Neuroophthalmology. 2016; 41(1):24-9.

【解説】

澤村裕正 東京大学眼科講師

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