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落屑緑内障[私の治療]

No.5290 (2025年09月13日発行) P.47

本庄 恵 (東京大学医学部眼科学教室准教授)

登録日: 2025-09-16

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  • 毛様小帯,水晶体囊,瞳孔縁などに,ふけのような落屑物質を有する落屑症候群に伴う続発緑内障が落屑緑内障である。落屑物質は加齢とともに顕在化し,左右差があることが多い。発症背景としていくつかの遺伝子変異が指摘されており,疫学的な地域性が知られている。落屑症候群の有病率は年齢とともに上昇し,わが国の70歳代では約4~6%,うち約20%に緑内障を伴う。落屑緑内障の病態はまだ不明な点が多いが,蓄積した落屑物質や細胞外マトリックスの構造的変化による房水流出抵抗の増大によって,眼圧上昇をきたすと考えられている。臨床的には散瞳不良や毛様小帯の脆弱性をきたしやすいという特徴がある。

    ▶診断のポイント

    落屑症候群は,細隙灯顕微鏡で水晶体囊や瞳孔縁に白色沈着物として観察される落屑物質を確認することで診断できる。水晶体囊の落屑物質は,散瞳後のほうが確認が容易である。隅角鏡検査において,線維柱帯の色素沈着が強く,Sampaolesi線と呼ばれる色素沈着を下方のSchwalbe線前方に認める。

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