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現代社会で増加している後天内斜視について

No.5290 (2025年09月13日発行) P.52

林 思音 (山形大学医学部眼科学教室)

西川典子 (旭川医科大学眼科講師)

登録日: 2025-09-15

最終更新日: 2025-09-09

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  • 現代社会で増加している後天内斜視についてご教示下さい。
    旭川医科大学・西川典子先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    林 思音 山形大学医学部眼科学教室


    【回答】

    【デジタルデバイス使用増加との関連性が指摘されている】

    急性後天共同性内斜視(acute acquired comitant esotropia:AACE)は,生後6カ月以降に急に発症した眼球運動制限を認めない内斜視です。古典的な分類では,片眼遮閉後に発症するSwan type,軽度の屈折異常で精神的肉体的ストレスの関与が疑われるFranceschetti type,未・低矯正の近視で長時間の近業が関連するBielschowsky typeがあり,以前は稀な疾患とされてきました。しかし近年,世界中から患者数の増加が報告され,その原因としてスマートフォン等のデジタルデバイス(digital device:DD)の使用増加が指摘されています。

    自施設においても,16歳男性でスマートフォンを購入した1カ月後から内斜視を発症した例や,5歳女児で母親が出産で不在の間,1日4~5時間タブレットを見ていた後に発症した例など,急性発症で関連性を強く疑う症例を多数経験しています。一方,15歳女性でスマートフォンは2年前から使用していますが,半年前からときどき遠方視で複視を自覚するようになったというように,発症時期や関連エピソードがあいまいな例もあります。

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