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社会保障費の自然増、目安からさらに抑制を【財政審建議】

登録日: 2017-05-29

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財務省の財政制度等審議会は25日、「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」を取りまとめ、麻生太郎財務相に提出した。建議は、社会保障のいわゆる“自然増”について、同計画で伸びの「目安」とされた年間5000億円をさらに抑制する必要性を強調した。

会議終了後に会見した榊原定征会長(東レ)は、「2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化達成は政府が掲げた国際公約。将来世代に対する我々の責務として、その実現の旗を降ろすことは許されない」と建議の意義を説明した。

建議で繰り返し強調されたのは「国民負担の抑制」という視点。社会保障分野を歳出改革の柱に位置づけた上で、社会保障関係費の“自然増”に言及した。17年度予算については、自然増が経済・財政再生計画で示された対前年比5000億円以内という「目安」を下回る結果(4997億円)となったことを評価した。しかし、20年代初めにかけて社会保障関係費の増加が見込まれることから、同計画の改革工程表が掲げた検討項目を全て着実に実行することなどにより、目安の達成にとどまらず、「さらに」伸びを抑制しなければならないと明示した。

18年度の次期診療報酬・介護報酬の同時改定の改定率に関しては、①デフレにより賃金や物価が下落していく中、診療報酬本体は伸び続けたため、両者の間のギャップはいまだ大きい、②高齢化や医療技術の高度化等により毎年度医療費・介護費は増加しており、これを支える税や保険料、自己負担といった国民負担は増加し続けている―と指摘。国民負担を抑制する観点から「しっかりと取り組んでいく必要がある」と盛り込んだ。

薬価制度の抜本改革では、通常の薬価調査の中間年に行う薬価改定の対象となる「価格乖離の大きな品目」の具体的内容についても、国民負担軽減の効果を踏まえて検討する必要性を強調した。

このほか改革工程表に掲げられた検討項目のうち、結論を出すに至らなかった項目として「受診時定額負担」を例示。具体的には、病院と診療所の機能分化の観点から現行の選定療養見直しの必要性を指摘し、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入についても検討を求めた。

財政規律が緩んでいる印象を受けると懸念した榊原会長

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