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健康の社会的決定要因 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.14

横倉義武 (日本医師会会長)

登録日: 2017-01-01

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平成27年4月のダライ・ラマ法王の来日記念講演会に続いて、昨年9月に日医会館で、世界的に著名なサー・マイケル・マーモット世界医師会長の講演会を開催できたことは、私にとって大変名誉なことでありました。

サー・マイケル・マーモット会長は、イギリス医師会長を務められた後、平成26年10月に開催された世界医師会(WMA)ダーバン総会においてWMA次期会長に選出され、翌年10月のWMAモスクワ総会でWMA会長に就任されました。

平成12年には、長年にわたる健康の社会格差、健康の不平等に関する疫学研究における多大な功績が称えられ、エリザベス女王よりSirの称号を授与されています。

マーモット会長の「健康の社会的決定要因」に関する活動は、これまで主に欧米、アフリカ諸国などで行われてきましたが、今回の講演会は、アジアにおいても講演を行いたいとのご本人の強い希望を受けて開催したものです。

当日の講演で、マーモット会長は、①健康格差について、収入が一定程度の水準に達するとそれ以上収入が増えたとしても、健康は約束されるわけではなく、健康であるか否かを決めるのは収入以外の社会的な要因であること、②健康格差を是正する方法は、どれだけ国の予算を社会保障に当てられるかにあること、などを約1時間にわたってお話し下さいました。その上で、マーモット会長は、「健康格差は回避可能なものである」として、われわれに「医師は病人を治療することが仕事であるが、人々を病気にしてしまう状況、つまり健康の社会的決定要因にも対応してほしい」と呼びかけられました。

超高齢社会を迎えたわが国において、医師の役割は治療から予防にまでと広がりつつあります。そのような中で、われわれがこれまで十分に配慮することができていなかった「健康の社会的決定要因への関与」について、喚起して頂いたことは大変ありがたいことでありました。

昨今わが国においても相対的な貧困ということが取り上げられるようになりましたが、今回の講演会を契機として、健康格差の減少および健康の不平等を改善する動きが、日本においてもさらに広がっていくことを期待しています。

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