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超高齢社会の疾病構造の変化と健康長寿 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.57

葛谷雅文 (名古屋大学未来社会創造機構教授、名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学(老年内科)教授)

登録日: 2017-01-02

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平成27年度の日本の高齢者人口(65歳以上)は約3400万人、高齢化率は26.7%、75歳以上の後期高齢者の占める割合は12.9%と、毎年の上昇が報告されている。私が医者になった頃の日本の高齢者人口は1100万人程度(高齢化率:約10%)であったことから、この30年間で高齢者人口は3倍以上増えたことになる。高齢者人口は平成54(2042)年まで増え続け、高齢化率は平成47(2035)年に33.4%、平成72(2060)年にはなんと39.9%に到達すると予測されている。しかも、今後増えるのは主に後期高齢者であるという。今でもあらゆる病床が高齢者で溢れているが、今後さらに入院患者の高齢化が加速することが予測される。

認知症の問題は、今や医療のみならず介護・福祉、いやそれ以上に社会の問題としてクローズアップされてきている。また昨今、要介護の原因として、サルコペニア、フレイル、ロコモティブシンドロームなどの新しい概念が提唱され、医療界のみならず、社会からも注目されるに至っている。

しかし、考えてみると認知症も以前より存在し、また上記のサルコ、フレイル、ロコモなどの病状も高齢者では当たり前に出現するもの、として捉えられてきた。確かに昔から高齢者は筋肉量が低下し、ヨボヨボして転びやすく、骨折しやすいことはわかっていた。ただ、超高齢社会を迎え、この対象者が爆発的に増えた昨今、この高齢者に当たり前に出現する病態を社会が無視できなくなった、ということである。

これらの病態が現実的に要介護認定に至るプロセスで大変重要であることもわかってきており、このプロセスをできるだけ予防する、ということの重要性が認識されはじめている。認知症もしかりであるが、かつては人生の終末期に出現する、稀な病気として、さほど注目も集まらず、研究者も今と比較すれば圧倒的に少ない現状であった。昨今、老年医学の分野で大変な注目を浴びているフレイルなどの概念が出てきたのは高々10年ほど前のことである。

今後、これらの概念が浸透し、少しでも日本人の健康寿命の延伸が図られることを期待する。

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