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今、何故、創造的破壊か? [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.38

川渕孝一 (東京医科歯科大学大学院医療経済学分野教授)

登録日: 2017-01-02

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昨年は第54回日本医療・病院管理学会学術総会長を拝命致しました。「そんな学会あったのか」という貴兄も多いかと思いますが、発足は1963年で、日本医学会にも属しています。但し、研究領域は広く、医学、公衆衛生学、看護学、経済学、経営学、法律学、社会学、社会福祉学、心理学、経営工学、統計学、建築学など集学的で、いまいちピントが定まらなくなってきました。そのためか会員数は逓減傾向にあり、この10年間の決算状況を調べると、来場者数いかんによっては持ち出しになることがわかりました。そこで思い切って非会員の参加費を引き上げ、総会のテーマも「創造的破壊」と致しました。と言っても「学会をぶち壊す」ということではありません。イノベーションの提唱者のヨーゼフ・A・シュンペーター(1883~1950)にあやかって、新しい「価値の創造」を模索するというものです。この経済発展の理論は今から約100年前の1912年に発表されました。

シュンペーターによればイノベーションとは、①創造的活動による新製品開発、②新生産方法の導入、③新市場の開拓に加えて、④新たな供給源の獲得、⑤組織の改革などから成る、としています。まさに、創造的破壊はアベノミクスが唱える経済成長の源泉なのです。

「失われた25年」と言われ、未だデフレ経済から脱却できない日本ですが、生産性向上をめざしてギアチェンジしなければ三流国に甘んじてしまうのではないでしょうか。翻って人類史上未経験の超高齢社会に突入するわが国はそろそろ「出羽の守」に頼ることなく自らその解決策を模索する必要に迫られています。「医療の質の向上と効率化の同時達成を目指して」を本総会の副題にしたのもそのためです。

本総会のプログラムも工夫してお役人さんの「大言上」ではなく、これまでと一味違った多種多様な「異脳」たちの登壇としました。お陰様で700名を超える参加となり、損益分岐点も達成でき、まずは一安心です。日本医師会他から共催・協賛・後援を頂いた方々に深謝致します。

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