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学生、研修医、専攻医、そして地域医療 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.26

志波直人 (久留米大学病院病院長)

登録日: 2017-01-01

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私たちの大学には、学内コンサルタントという制度があり、教授が各学年2~3名の学生を受け持ち、卒業まで担当します。教務から連絡を受けて種々対応したり、希望する学生とはmail addressや携帯番号を交換して連絡をとったりします。年に1~2回開催されるコンサルタント会では、学生の他、医師となった卒業生たちも合流し、賑やかな宴会となります。学生から医師、そして医師になって以降も彼らの成長を見守ることができ、医学部の教員であることを再認識し、喜びを実感できる制度です。

しかしながら、遠方からの学生は、当然故郷で研修を望む卒業生が多く、一方、地元の学生であっても、都市部での研修希望者が少なくありません。最も辛いのは、研修医数の制限が設けられているため、希望しても母校で研修ができない卒業生がいることです。

さて、私たちの科では様々な取り組みの結果、来年度はここ数年の倍近い入局(専攻)希望者があります。新専門医制度の開始は1年先送りとなりましたが、実はこの入局希望者増が新たな悩みの種となりました。新専門医制度ではプログラムごとに専攻医数の上限(都市型では過去3年の実績の120%、地方型では150%)が定められます。実績の%での上限設定は一見合理的に見えますが、たとえば都市型で実績が20名の施設は実績+4名、5名では実績+1名が上限となり、ここ3年の入局者が少ない施設にはきわめて厳しい条件となります。これにより、上限を超えた小規模プログラムから、キャパシティの大きなプログラムへと専攻医が移る状況が発生すると考えられます。

特に私たちの施設を含め地方大学では、研修医制度開始後入局者が減少して、入局者が多い年度の医師たちで関連施設の人員を何とか維持してきました。私たちの来年度の入局者数はまさにこの年度に当たるのですが、新専門医制度開始後はこれも制限されることになり、若い医師たちは、国家試験合格後も専攻医となるまでに、研修医、専攻医の入り口で二度の“篩(ふるい)”にかけられることになります。

大学病院は様々な大きな変革を迎えようとしています。私たちは地域医療を実践してきた関連施設とともに、これからも地域に根差した医育機関として歩みを続けます。

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