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先天的、後天的 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.113

野村幸世 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学准教授)

登録日: 2017-01-04

最終更新日: 2016-12-26

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わが家には2人の娘がいます。小学校3年生と5歳児ですが、私が43歳と47歳という遅まきながら授かった子どもたちです。高齢での子育ては大変であろうと皆様から同情されますが、これがどうして。いろいろと人生経験がありますと、それに照らし合わせていろいろなことを考えながら子育てをしますので、これもまた楽しみです。上の子の顔は私によく似ていますが、中身は私のパートナーに似ているのだと思います。しょっちゅう、傘をどこかに忘れてきたり、筆箱さえも置いてきます。私は断じてそのようなことをする子どもではありませんでした。下の子の顔は私のパートナーに似ていますが、中身はいやになるほど私に似ています。

先日、下の子が通っている東大病院の保育園で「親子のつどい」があり、下の子たちのダンスを披露されました。これが、よく言えばリーダーシップなのでしょうけれど、超、おせっかいでありまして、人の世話ばかり焼いている小うるさいやつで、まるで自分を見ているようで赤面しました。この子どもたちを見ていますと、どこまでがジェネティックなもので、どこからが後天的なものなのか不思議に思います。自分のいやなところまでそっくりな下の子を見ると、自分のいやなところも遺伝子にコードされているのだと思うと、自分の責任ではないと気が楽になったりしています。

がんにもジェネティックな変化とエピジェネティックな変化があり、それが蓄積してがんになっていきます。エピジェネティックな変化は感染などの環境により惹起されるいわば後天的な変化で、うまく扱えば、可逆的な変化です。しかし、環境により確実に変化は蓄積していきます。子どもの頭脳にも環境、教育により、確実にエピジェネティックな変化が蓄積しているのかもしれません。

忙しい日々の中で、保育園や学童保育にお世話になり、子どもと一緒に過ごす時間はほんのわずかです。それでも、こちらの熱意と技術によって子どもは刷り込まれているのでしょう。やはり、どこまでがジェネティックな変化で、どこからがエピジェネティックな変化かはわかりませんが、子育てはおもしろいです。

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