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小児腫瘍に対するX線治療と陽子線治療の使いわけ 【多くの疾患で陽子線治療が有効だが,一部の病態,疾患ではX線治療が望ましい】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.57

青山英史 (新潟大学大学院医歯学総合研究科腫瘍放射線医学分野教授)

副島俊典 (兵庫県立がんセンター放射線治療科部長 (診療科長))

登録日: 2016-12-08

最終更新日: 2016-12-01

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  • 小児腫瘍に対するX線治療と陽子線治療の使いわけについてご教示下さい。兵庫県立がんセンター・副島俊典先生のご回答をお願いします。

    【質問者】

    青山英史 新潟大学大学院医歯学総合研究科 腫瘍放射線医学分野教授


    【回答】

    2016年4月から小児腫瘍に対する陽子線治療が保険収載され,小児腫瘍に対する陽子線治療への関心が高まってきています。小児がん治療において放射線治療が治癒に貢献することは紛れもない事実ですが,がんサバイバーにとって放射線治療による合併症が重要な問題であることも事実です。陽子線治療はある一定の深部以降に放射線を照射しない特性がありますので,放射線治療の治療体積を小さくすることができ,その結果,二次がんの発症を減らすことができ,また他の合併症を軽減することが期待されています。

    陽子線治療が最も期待されているものとしては下記の疾患や照射方法があります。

    まず,髄芽腫などに必要とされる全脳全脊髄照射(cranio spinal irradiation:CSI)では中耳,甲状腺,心臓,肺,生殖器への照射線量を減ずることができると考えられています。また,副腎原発の神経芽腫の化学療法,大量化学療法および手術療法後の放射線治療において肝臓や健側腎臓への照射線量を少なくすることが期待されています。傍髄膜横紋筋肉腫や脳腫瘍などでも,頭蓋内重要臓器への線量低減が期待されています。

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