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安倍首相「2020年までに新しい医療・介護システムの稼働を」【未来投資会議】

No.4830 (2016年11月19日発行) P.12

登録日: 2016-11-16

最終更新日: 2016-11-16

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安倍晋三首相は10日に官邸で開かれた未来投資会議で、ビッグデータや人工知能(AI)を活用した新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる方針を明らかにした。

会議のテーマは、医療・介護の未来投資と課題。この中で安倍首相は、団塊世代が75歳を迎える2025年が迫っており、健康寿命の延伸が喫緊の課題であるとの認識を示し、「2025年問題に間に合うように、『予防・健康管理』と『自立支援』に軸足を置いた新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる」との方針を表明。さらに、データ分析によって個人の状態に応じた予防や治療が可能となり、質の高い医療を実現することで、「高齢者が生き生きと暮らし、社会保障費が減っていく」とのメリットを強調した。

その上で、「これらを一気に実現するパラダイムシフトを起こしていかなければならない」と述べ、インセンティブにも言及。「医療や介護の報酬、人員配置基準といった制度の改革に踏み込んでいく」と意欲を示し、関係大臣に対し「直ちに施策を具体化してもらいたい」と指示した。

塩崎恭久厚労相は翌11日の閣議後会見で、「(会議で)私が申し上げたのは、医療も介護も科学しようということ」と説明。ビッグデータやAIを最大限に活用して科学に基づく医療・介護を進めるために、診療報酬・介護報酬によるインセンティブで後押ししていく考えを示した。

ICT活用の戦略を検討していた厚労省の有識者懇談会は先月、患者個人の医療・介護情報を統合したシステムを2020年度から運用する構想を盛り込んだ報告書をまとめており、厚労省も構想の実現に意欲を見せていた。この方向性は安倍首相の指示にも合致する。関係団体や国民の理解を得るなど実現にはハードルもあるが、医療の質の向上につながる科学技術の応用、国の支援に期待したい。(N)

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