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第4世代合成黄体ホルモン製剤

No.4758 (2015年07月04日発行) P.60

篠原康一 (愛知医科大学産科・婦人科准教授)

登録日: 2015-07-04

最終更新日: 2016-10-26

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卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の治療は手術療法が優先されるが,術後6カ月において治療的腹腔鏡手術を施行した20~38%で疼痛改善は得られず,手術療法単独では治療効果に限界がある。また,手術のみでは術後1年で約56%が再発することから,術後維持療法が不可欠である(文献1)。
術後,経口避妊薬(oral contraceptive:OC)の継続使用は,非使用に比してOR:0.12(0.05~0.29)と有意に再発を予防するが(文献1),内膜症の管理は閉経までの長期に及ぶため,その治療薬剤選択が重要である。
子宮内膜症の治療薬としてGnRHa(gonadotropin releasing hormone agonists)がある。同剤は効果も高く産婦人科医にとって重要な薬剤であるが,長期投与ができず,長年の臨床上の問題であった。また,GnRHaは血中エストロゲン濃度を強力に低下させるため,長期間の使用は動脈硬化に促進的に作用する可能性がある(文献2)。一方で,アンドロゲン作用を有する合成黄体ホルモンは血管内皮機能に抑制的に作用するが,ジエノゲスト(ディナゲスト)はアンドロゲン作用がなく,内皮機能への影響が少ないと考えられる。
ジエノゲストが保険適用されたことは,子宮内膜症を有する女性にとっては長期のQOLを保つ上でも,また社会進出を妨げない点でも大きな転換点であった。

【文献】


1) Vercellini P, et al:Acta Obstet Gynecol Scand. 2013;92(1):8-16.
2) Yim SF, et al:Circulation. 1998;98(16):1631-5.

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