株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

新しいモニター:カプノメーター

No.4755 (2015年06月13日発行) P.54

上村裕一 (鹿児島大学麻酔・蘇生学教授)

登録日: 2015-06-13

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

麻酔中,患者は気管挿管され人工呼吸管理されることが多いので,呼吸のモニターが必須である。現在,酸素化のモニターとしてパルスオキシメーターが普及しているが,以前は換気のモニターとして機器は開発されておらず,聴診で呼吸音を確認することが最も有効であった。
しかし,医療技術の進歩により二酸化炭素を赤外線吸収の変化により測定することが可能になり,肺から排出される二酸化炭素を測定することで換気を確認できるようになった。その装置がカプノメーターである。気管チューブに接続して呼気中の二酸化炭素を測定し,現在は麻酔中のモニターとして必須になっている(文献1)。また,手術室外で人工呼吸管理されている患者の呼吸モニターとしての使用も増加してきている。
さらに救急現場では,救急救命士が心肺停止の傷病者に気管挿管した際に,気管にチューブが入っていることの最も確実な確認法として,カプノメーターの有用性が検討されている。
カプノメーターは気管挿管されている患者でのみ確実に呼気を検出し,呼吸モニターとしての有効性を発揮する。しかし,抜管後の患者は無呼吸や気道閉塞のリスクが高く,抜管後の呼吸の観察が呼吸合併症の防止のために重要である。最近,呼吸音で気管挿管されていない患者の換気をモニターする機器も開発されており,現在その有効性が検討されている(文献2)。

【文献】


1) 日本麻酔科学会ホームページ. [http://www.anesth.or.jp/]
2) 川西秀明, 他:日臨麻会誌. 2014;34(7):848-53.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top