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新生児マススクリーニングで発見される小児内分泌疾患の今後の課題

No.4728 (2014年12月06日発行) P.60

田島敏広 (北海道大学小児科講師)

有賀 正 (海道大学小児科教授)

登録日: 2014-12-06

最終更新日: 2016-10-26

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新生児マススクリーニング(MS)では,先天性副腎過形成症と先天性甲状腺機能低下症(congenital hypothyroidism:CH)が早期診断可能である。先天性副腎過形成症の中では21-水酸化酵素欠損症が最も多く発見され,ついでP450 oxidoreductase欠損症が発見される頻度が高い(文献1)。
MSの問題点は,偽陽性の頻度が高いことである。この問題の改善には,一次検査陽性者を対象として陽性的中率が高い二次検査法を実施する2段階スクリーニングが必要である。札幌市では液体クロマトグラフ─タンデム質量分析計(LC-MS/MS)法による二次検査を開始し,有用性について報告している(文献2)。今後,LC-MS/MS法による二次検査のステロイド分析を国内で検討する必要がある。
CHのMSでは,潜在性またはサブクリニカルCHと考えられる症例が増加し,今後,その予後について全国的検討が必要である。最近,原因が不明であったTSH分泌不全を起こす先天性X連鎖性中枢性CHの原因が同定され,比較的日本人に多く認められた(文献3)。したがって,早期治療の観点から,今後,TSHとFT4の同時測定による中枢性CHのMSを広める必要がある。

【文献】


1) 田島敏広, 他:日小児会誌. 2010;114(9):1373-80.
2) 藤倉かおり, 他:日マス・スクリーニング会誌. 2013; 23(1):85-92.
3) Nakamura A, et al:J Clin Endocrinol Metab. 2013;98(10):E1682-91.

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