株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

肥満症の外科治療

No.4721 (2014年10月18日発行) P.55

倉科智行 (自治医科大学内分泌代謝科)

登録日: 2014-10-18

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

肥満は様々な疾患を合併しやすいため,単に過体重として看過すべき病態ではない。特に,内臓脂肪蓄積を伴う場合は,高率に耐糖能異常・高血圧・脂質異常症を合併する。さらに,物理的な障害として変形性関節症や閉塞型睡眠時無呼吸症候群を合併しやすい。
肥満症は主に内科的治療が行われてきた。すなわち,カロリー制限による食事療法,カロリー消費増大目的の運動療法に加えて,肥満解消にとって不適切な,無意識に行っている行動を自覚し修正していくという認知行動療法である。マジンドールが認可された唯一の薬物である。しかし,これらの治療で一時的に肥満が改善しても,長期的には効果が消失(対照と同程度までリバウンド)してしまうことが多い。そこで,肥満症に対する外科治療に期待が寄せられている。主にBMI 35以上の病的肥満症が対象となる。体重減少効果が得られる以前から,代謝性合併症(血糖・脂質)の改善が認められる。GLP-1やグレリンといった消化管ホルモンが術後に変化するためと考えられている(文献1)。
肥満症の外科手術には大きくわけて胃への流入を少なくする手術(胃バンディング術,袖状胃切除術)と,胃をバイパスする手術(Roux-en-Y胃バイパス術)がある。胃バイパス術の減量効果がより高いが,胃内視鏡検査が困難となることから,胃癌罹患率の高い日本人では前者が勧められている。わが国においては腹腔鏡下袖状胃切除術(laparoscopic sleeve gastrectomy)が,2010年から9つの施設で先進医療として認可されており,手術費以外は保険負担が可能となっている。

【文献】


1) Thaler JP, et al:Endocrinology. 2009;150(6): 2518-25.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top