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クローン病の治療

No.4712 (2014年08月16日発行) P.52

木下芳一 (島根大学第二内科教授)

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-10-26

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クローン病は慢性の消化管を中心とした炎症性疾患で,自然免疫系の異常がその原因として注目されている。現在,その患者数は国内でも3万人を超えており,消化器内科専門外来ではめずらしくない疾患となっている。クローン病に対しては従来から様々な治療が行われており,ステロイドホルモン製剤,5アミノサリチル酸製剤,免疫抑制薬,成分栄養療法などがその中心であった。ただ,これらの治療を行っても腸管の炎症を完全に消退させることは困難で,持続する炎症と治癒過程で起こる瘢痕収縮が原因となって腸管の狭窄や瘻孔が形成され,手術による腸管切除が必要となる例も多かった。
クローン病の病態解析からTNF-αが病態の中心的役割を担うことが明らかとなり,その作用を抑制するために抗TNF-α抗体が作製された。最初,この薬剤は治療初期に炎症を抑えて維持療法が可能な状態にすることを目的に短期間のみ使用されていたが,現在は初期治療薬としても,維持治療における再燃防止のための薬剤としても用いられている。このためTNF-α抗体製剤は数週間ごとに定期的に点滴あるいは皮下注射され,このスケジュールに従ったTNF-α抗体の投薬治療がクローン病治療の主流となっている(文献1)。
また,TNF-α抗体でクローン病の炎症を抑えるだけではなく,粘膜上皮の正常化を完全に維持することを目標とした維持治療が,患者の予後改善を示す研究成績も報告されている。クローン病の投薬治療がinfusion clinicで行われている様子もめずらしくなくなった。

【文献】


1) 藤井俊光, 他:消臨. 2013;16(5):454-9.

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