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乾癬の新しい病因論と生物製剤(Biologics)

No.4697 (2014年05月03日発行) P.59

片山一朗 (大阪大学皮膚科教授)

登録日: 2014-05-03

最終更新日: 2016-10-26

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乾癬は慢性に経過する炎症性角化症で,関節症状を伴う病態や膿疱化,紅皮症化などの難治性の病型が知られている。標準的な外用療法としてはステロイドと活性型ビタミンD3薬外用療法,ナローバンドUVB,エキシマランプなどの光線療法が選択される。また外用療法が無効な場合,チガソンRなどのビタミンA誘導体やシクロスポリンなどの免疫抑制剤が選択される(文献1)。
病理学的所見として,表皮細胞の異常(増殖亢進と分化異常)と真皮から表皮内への炎症性細胞浸潤という2つの特徴が挙げられ,そこにTIP-DCと呼ばれるTNF-α,iNOSを産生する樹状細胞とTh17細胞の密接なクロストークが存在することが考えられている。また,このTh17細胞の誘導にIL-12,IL-23が関与し,さらにこの細胞が産生するIL-17,IL-22が表皮の増殖亢進を誘導することが示され,これらのサイトカインを標的とする新たな抗体療法が世界的な乾癬治療の趨勢になりつつある(文献2)。乾癬の保険診療が認められている抗体製剤は大きく以下のように分類される。
・キメラ型モノクローナル抗体:抗TNF-α抗体:インフリキシマブ(レミケードR)
・完全ヒトモノクローナル抗体:抗TNF-α抗体:アダリムマブ(ヒュミラR)
・完全ヒトモノクローナル抗体:IL-12/23p40に対する抗体:ウステキヌマブ(ステラーラR)
ガイドラインに基づいた治療と同時に,結核などの感染症の発症に注意が必要である。

【文献】


1) 大槻マミ太郎,他:日皮会誌. 2011;121(8):1561 -72.
2) Nestle FO, et al:N Engl J Med. 2009;361(5):496-509.

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