帯状疱疹が4月1日、予防接種法のB類疾病(一部公費負担)に位置づけられ、2種類の帯状疱疹ワクチンが同日より定期接種として使用可能となった。
帯状疱疹ワクチンの定期接種は①年度内に65歳を迎える人、②60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害があり、日常生活がほとんど不可能な人─が対象。2029年度までの5年間の経過措置として、その年度に70、75、80、85、90、95、100歳になる人も対象となり、100歳以上の人は2025年度に限り全員対象となる。
定期接種として使用できるワクチンは、阪大微研の乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」と、グラクソ・スミスクライン(GSK)の乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用」。皮下注の「ビケン」は1回の接種で終わるのに対し、筋注の「シングリックス」は原則2カ月以上の間隔をあけて2回の接種が必要。「シングリックス」は免疫の状態にかかわらず接種できるが、「ビケン」は免疫不全者や免疫抑制治療を受けている人には接種できない。
接種後5年時点の帯状疱疹に対する予防効果は「ビケン」が4割程度、「シングリックス」は9割程度。「シングリックス」は50歳以上で10年以上の予防効果の持続が確認されている。
帯状疱疹ワクチンは、医師が必要と認めた場合、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンなどとの同時接種が可能とされている(生ワクチンの「ビケン」は、他の生ワクチンとは27日以上の間隔を置いて接種)。
定期接種化に当たりGSKは「日本人成人の90%以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスがすでに体内に潜んでいる可能性があり、50歳を過ぎると帯状疱疹の発症が増え始め、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれている。定期接種化は、対象者を帯状疱疹のリスクから守ることに寄与する重要な取り組み」とのコメントを発表した。
乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」の製品概要
【一般名】 乾燥弱毒生水痘ワクチン
【効能・効果】 水痘の予防/50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防
【用法・用量】 添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射
乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用」の製品情報
【一般名】 乾燥組換え帯状疱疹ワクチン
【効能・効果】 帯状疱疹の予防
【用法・用量】 50歳以上:0.5mLを2回、2カ月の間隔をおいて筋肉内に接種/帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上:0.5mLを2回、1~2カ月の間隔をおいて筋肉内に接種