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接着剤によるアレルギー

No.4706 (2014年07月05日発行) P.63

鷲崎久美子 (大森町皮ふ科院長)

登録日: 2014-07-05

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

(1)医科・歯科領域で簡便な処置後に接着剤が多く使用されるようになりました。一方で,巷では目周囲の化粧が特に若年世代で流行しており,二重瞼をつくるための糊化粧品やつけ睫毛を日常使用する人が多いようです。爪のおしゃれもすっかり定着してネイルサロンも乱立し,社会全体として接着剤使用が急激に増えているように思われます。実際の使用量からみるとアレルギーの発生頻度は低いように感じていますが,発生頻度の推移についての報告はありますか。接着剤について十分な安全対策はとられているのでしょうか。このまま消費量が増えても接着剤は安全だと考えてよいでしょうか。
(2)接着剤アレルギーを疑った場合の,原因製品の皮膚テスト方法と実施すべき関連アレルゲン検査について教えて下さい。
(3)生活用品で接着剤アレルギーを起こした場合,医科・歯科治療を受けるときが心配です。接着剤アレルギーを確認した患者に伝えるべき事項を。
回答は大森町皮ふ科・鷲崎久美子先生にお願いします。
【質問者】
関東裕美:東邦大学医学部皮膚科教授

【A】

[1]接着剤アレルギーの原因と発生頻度
睫毛エクステンション瞬間接着剤(グルー)の成分はシアノアクリレート,アクリルあるいはウレタン樹脂,カーボンブラックなどです。
人工爪には以下の3タイプがあります。
(1)アクリリックネイル:アクリル系液体のモノマーとパウダー状のポリマーを混合し重合・硬化させます。初期はmethyl methacrylate(MMA)が使用されていましたが,重度の爪障害や接触皮膚炎の報告が相次ぎ,米国食品医薬品局(FDA)がネイルへの使用を禁止したため,現在はethyl methacrylate(EMA)を主成分とするものが多くなっています。
(2)ジェルネイル:ジェル状のアクリル樹脂を塗布後,UVA(ultraviolet A)を照射し硬化させます。2-hydroxyethyl methacrylate(2-HEMA)が頻用されています。
(3)ネイルチップ:シアノアクリレート系接着剤を用い自爪に貼りつけます。
シアノアクリレートは,通常モノマーの状態で存在する液体で,皮膚ケラチンと瞬時に重合し分子量が大きくなることから感作性は低いと考えられています。また,アクリル樹脂は,未重合のアクリルモノマーや残留モノマーが感作原であるため,歯科医療従事者やネイリストなどの職業性感作以外のアレルギー性接触皮膚炎の報告は少ないようです。
東邦大学医療センター大森病院における1996年1月~2000年12月までの職業性接触皮膚炎疑いを除く334例の歯科材料シリーズのパッチテスト陽性率は,MMAで1.4%,ethylene glycol dimethacrylate(EGDMA)で0.2%,2-HEMAで0.2%と低い結果でした。
しかし,ネイルサロンの普及で施術者,顧客が増加し,さらに自宅で簡便に施術が行えるため,今後,接触皮膚炎は増加すると推測されます。特に使用方法に関し,材料が直接,接触しないよう注意することが必要と考えます。
[2]接着剤アレルギーの検査
Brial社の歯科材料シリーズがあります。2-HE MA, EMA, MMA, EGDMA,triethylene glycol dimethacrylate(TREGDMA)の1~2% pet(petは白色ワセリン)を用い,48時間クローズドパッチテストを行います。
[3]患者さんへの注意事項
シアノアクリレートは美容目的,一般家庭用アロンアルファRのほか,医療用瞬間接着剤(ダーマボンドR,ダーマボンド*HVR)として,腹腔鏡手術後や美容外科で使用されているため,注意を要します。歯科治療用アクリル樹脂で接触皮膚炎を起こした場合は,液体のモノマーの直接接触を避けることと,交差感作を起こすため代替製品の選択も重要となります。

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