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在宅訪問診療の保険算定範囲

No.4721 (2014年10月18日発行) P.68

竹中郁夫 (弁護士)

登録日: 2014-10-18

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

在宅患者,訪問診療,訪問看護に対する保険算定の範囲について。
在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者への処置料の算定は不可とされているためしていないが,材料は算定している。このような対応でよいか。
また,看護師が処置をした場合は点数を算定してよいのか。各種管理料との関係で,個別に処置点を算定できるケースがあるか。 (島根県 I)

【A】

診療報酬規定についての査定等は,支払基金側自身も認めている通り,ローカルルール的なばらつきがある。また回答者はこれを公権判断できる立場ではない。そのため,本回答はあくまでこのような状況と推測されるという留保付きの回答である。各地の具体的状況については,当該地域の医師会や保険医協会などで十分に状況を聞いて保険請求実務を行われたい。
在宅寝たきり患者処置指導管理料とは,「在宅における創傷処置等の処置を行っている入院中の患者以外の患者であって,現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものに対して,当該処置に関する指導管理を行った場合に算定する」ものである。
しかし,「在宅における創傷処置等の処置とは,家庭において療養を行っている患者であって,現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが,在宅において自ら又はその家族等患者の看護に当たる者が実施する創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。),皮膚科軟膏処置,留置カテーテル設置,膀胱洗浄,導尿(尿道拡張を要するもの),鼻腔栄養,ストーマ処置,喀痰吸引,介達牽引又は消炎鎮痛等処置をいう」。
この際に,材料代金は技術料(加算含む)に含まれている場合と,特定保険医療材料として材料価格を保険償還できる場合に,二分された処理がなされるために,保険医療機関と支払基金の間に綱引きが生じる。
その処理については,従来の保険制度運営の故事来歴と,冒頭で述べたローカルルール的な査定が影響する。このような保険請求をする保険医療機関や保険医は,本質問のごとく悩ましい状況に置かれることが多い。
医薬品会社の自社商品情報提供サイトにおいても「各都道府県によって算定条件が異なることがあります。最終的な判断は各都道府県の支払基金および国保連合会へお問い合わせ下さい」といった注意書きがなされているところもあり,この問題の難しさがうかがわれる。
なお,在宅寝たきり患者処置指導管理料に含まれる処置の薬剤を,看護師が医師と同道しないかたちで使用した場合は,既述のように,いわゆる「まるめ」の範疇に入り,請求できないという扱いになっている。

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