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横倉会長と石井常任理事が立候補 - 横倉氏「強い医師会への組織づくり」強調 [日医会長選]

No.4807 (2016年06月11日発行) P.8

登録日: 2016-06-11

最終更新日: 2016-12-06

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【概要】6月25日投票の日本医師会会長選挙に、現職の横倉義武会長と石井正三常任理事が立候補した。横倉氏は3月の日医臨時代議員会で出馬を早々と表明し、2回連続の信任投票の可能性が高まっていたが、石井氏が急遽1日に立候補を表明。4年ぶりに選挙が行われることとなった。


横倉氏(写真上、左から2人目)は5日に選挙事務所開きを行い、横倉氏支持を打ち出している日医全地域ブロックの代表に加え、元日医副会長で参議院議員の羽生田俊氏が応援に駆け付けた。

●全地域ブロックが「横倉氏支持」
横倉氏は3選に向けて、(1)かかりつけ医を中心とした「まちづくり」、(2)変革期を担う人材育成の視点に立った「人づくり」、(3)医療政策をリードする強い医師会への「組織づくり」─を基本方針に掲げた。中でも消費税率引上げが再延期されたことを受け、「非常に厳しい時代に入った」との見方を示し、「すべての医師が結集できる組織体制を作り上げる」と組織強化の重要性を強調した。
また、横倉氏は次期役員候補者を発表。中川俊男、今村聡、松原謙二の現職副会長3人を再任し、常任理事には新たに3人を登用する方針を示した。
挨拶した羽生田氏は「横倉会長は経団連の会長よりも多く官邸に行って首相と話をしている」として横倉氏の“政治力”を強調。また、尾﨑治夫東京都医師会長は、医師が1つに団結することが重要とした上で、「横倉会長をしっかり支えていきたい」と述べた。

●石井氏「医療費財源に金融資産の活用を」
現執行部からの対抗馬・石井氏(写真下)は、常任理事として5期10年を務め、JMAT(日本医師会災害医療チーム)の立ち上げに尽力。4日の事務所開き後の会見で、前回の会長選が信任投票だったことに触れ、立候補の狙いについて「全体の方針を決める会長が良かったのか悪かったのか議論がなされなかった。今回それを問うてみたい」と述べた。
石井氏は政策として、医療費財源に金融資産の一部をファンド化して運用益を充当することを提案。「財源論がない医療政策をいくら話し合っても何も起きない。日本人の個人金融資産は1600兆~1800兆円が眠ったままといわれる。財務省は財源がないというが、そういう政策(個人や法人の金融資産を活用する方法)をやるのかやらないのか、議論を交わさないと膠着状態は変わらない」と訴えた。
事務所開きでは、小松満茨城県医師会長と塩見俊次奈良県医師会長が挨拶。小松氏は「前回が無投票で今回も無投票は良くない」、塩見氏は「(私も)2年前、副会長選に出た。負けるのは分かっていたが、勝ち負けだけが自分の意思を実現するものではない」と述べた。


【記者の眼】
次期日医会長は2018年4月に控える診療報酬・介護報酬同時改定の舵取り役という重責を担う。横倉氏の優位は動かないが、石井氏の立候補で横倉執行部に対するホンネの評価を垣間見ることができそうだ。(T)

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