厚生労働省が8月21日の診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会に報告した調査結果によると、「ベースアップ評価料」の対象職員の2023年度と比較した賃金増加率は、24年度が2.69%、25年度が3.40%だったことが分かった。
24年度改定では、看護職員や病院薬剤師などの医療関係職種の賃上げのための措置として、「ベースアップ評価料」が新設された。厚労省が「ベースアップ評価料」届出医療機関の賃金改善計画書を集計した結果によると、対象職員の賃金増加率は23年度比で、24年度が2.69%、25年度が3.40%だった。24年度改定時の目標は当該加算以外の収入や賃上げ促進税制の活用などと組み合わせることにより、2年間で4.5%(24年度に2.5%、25年度に2.0%)の賃上げを実現することだった。だが、日本病院会をはじめとする4病院団体の調査では賃上げ促進税制の利用が進んでいないことが明らかになっており、目標値に届いていない可能性が高い。
「初・再診料」の引上げで措置することになっていた職員の2年間の賃金増加率は、40歳未満医師が2.89%、事務職員が3.18%だった。
診療報酬の算定状況をみると、「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」は病院の約9割、診療所の約4割が届け出ていた。非届出病院は、公立や医療法人立(社会医療法人を除く)、許可病床数100床未満の病院に多い。「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」を届け出ている医療機関(主に無床診療所)のうち約4%が、賃金増加率が一定水準に達しない場合に上乗せ算定できる「同評価料(II)」の届出を行っていた。
病院が「ベースアップ評価料」の届出をしていない理由で最も多いのは、「届出が煩雑なため」。特に「入院ベースアップ評価料」と「看護職員処遇改善評価料」の両方を算定する場合は、それぞれについて賃金改善計画書・実績報告書の作成等が必要であり、多大な事務負担が算定のハードルとなっている。
議論では多くの委員が、賃金増加率が目標値に達していないことに問題意識を表明。医療系の委員からは不足分の補填を含めた手当を次回改定で行うことや、病院の事務負担軽減の観点から「入院ベースアップ評価料」と「看護職員処遇改善評価料」を一本化することを求める意見などが上がった。