「周産期心筋症診療の手引き」による周産期心筋症の定義は,①妊娠中から分娩後6カ月以内に新たに心収縮機能低下・心不全を発症,②他に心収縮機能低下・心不全の原因となる疾患がない,③発症までに心筋疾患の既往がない,④左室収縮機能の低下〔左室駆出率(LVEF)≦45%〕,である。多くの患者において半年~1年以内に心機能の改善を認めるが,重症例における死亡や不整脈突然死も報告されており,早期の診断および治療が重要である。
息切れ,浮腫,体重増加,めまい,動悸,倦怠感,頻脈など。
高年妊娠,多胎妊娠,妊娠高血圧症候群の合併,切迫早産治療(β-agonists)など。
BNPまたはNT-proBNPの上昇。胸部X線写真における心拡大や肺うっ血,胸水貯留。心電図では特異的変化はないが,洞性頻脈,QRS幅延長,陰性T波,非特異的ST変化などがみられる。経胸壁心エコー図でLVEF 45%以下の新規の左室収縮機能低下,左室拡大。
肺動脈血栓塞栓症,羊水塞栓症,心筋炎,妊娠高血圧症候群,妊娠関連急性心筋梗塞,心筋症,既存の心疾患(先天性心疾患・弁膜症・心筋症)による心不全など。
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