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胃ポリープ・胃腺腫[私の治療]

No.5243 (2024年10月19日発行) P.40

今枝博之 (埼玉医科大学医学部消化管内科教授)

登録日: 2024-10-16

最終更新日: 2024-10-15

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  • Ⅰ.胃ポリープ

    胃ポリープは,胃の内腔に突出した胃粘膜上皮の限局性隆起性病変の総称で,一般的には良性の胃上皮性非腫瘍性病変に対して用いられる。山田・福富分類が用いられることが多い。組織型では過形成性ポリープと胃底腺ポリープが最も頻度が高い。近年,プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)の長期投与により胃底腺ポリープや過形成性ポリープの増加・増大がみられることがある。PPIの長期投与により増大する胃底腺ポリープは,水腫様に膨化した多房性の形態を示す。病理学的には,parietal cell protrusionと言われる壁細胞の腫大膨化と腺管内腔側に鋸歯状に突出を示す所見がみられる。

    ▶診断のポイント

    症状:自覚症状はほとんどない。
    検査所見:特徴的な内視鏡所見を有していることが多く,比較的容易に診断がつく。

    【過形成性ポリープ】

    発赤調で表面が乳頭状,腺窩が伸びたように観察され,小びらんや白苔を伴い苺様を呈することもある。山田・福富分類のⅡ型,Ⅲ型が多く,1cm以下のものが多いが,大きくなるとⅣ型としてみられ,分葉状となることもある。胃体下部から前庭部に多発することが多く,Helicobacter pylori感染胃炎に伴うことが多いが,自己免疫性胃炎に伴うものもみられる。がん化率は1~2%で,ポリープが増大(1cm以上)するほど,がん化率は高くなる。

    【胃底腺ポリープ】

    胃底腺領域の萎縮のない粘膜に発生し,表面平滑で周囲粘膜の色調と同様の正色調が多い。多くは5mm以下で半球状の山田・福富分類のⅡ型,Ⅲ型を呈することが多い。背景粘膜は萎縮のない粘膜である。がん化はきわめて稀である。

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