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食道内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)後狭窄に対する予防法の現状について

No.5242 (2024年10月12日発行) P.50

岩坪太郎 (大阪医科薬科大学病院消化器内科)

門田智裕 (国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科医長)

登録日: 2024-10-15

最終更新日: 2024-10-08

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  • 食道内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)後狭窄に対する予防法の現状についてご教示下さい。
    国立がん研究センター東病院・門田智裕先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    岩坪太郎 大阪医科薬科大学病院消化器内科


    【回答】

    【広範な食道ESD後の狭窄予防にはステロイド局注療法を行うことが必須である】

    食道内視鏡切除後の粘膜欠損の周在性が3/4周を超える病変では,狭窄予防法を行わなければ68〜100%に狭窄が生じることが知られています1)。また,さらに細かく粘膜欠損の周在性が3/4周以上7/8周未満の場合に39%(7/18),7/8周以上全周未満では100%(10/10)で狭窄を来したとの報告があり2),周在性が広がるにつれて狭窄しやすいことが知られています。

    食道ESD後の狭窄予防法として,予防的内視鏡的バルーン拡張術,ステロイド局注療法,ステロイド内服療法,トリアムシノロン充填法,ポリグリコール酸シート貼布,培養口腔粘膜上皮細胞シート移植,予防的食道ステント留置などの報告がありますが3),その中で簡便で広く使用され報告が多いのが,ステロイド局注療法および内服療法です。ESD後潰瘍の創傷治癒過程は,炎症期から始まり,血管新生や肉芽形成が起きる増殖期を経て,線維性組織の再編成が起こる瘢痕形成期に至るとされており,ステロイドは,各種サイトカインの産生や線維芽細胞の増殖を抑えることで狭窄形成を予防しているとされています4)

    WEBコンテンツ「ステップアップESD〜上部消化管編」

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