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心房細動[私の治療]

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  • ▶治療の実際

    【抗凝固療法】

    年齢≧75歳,高血圧,心不全,糖尿病,脳梗塞/一過性脳虚血の既往,のいずれかがあれば抗凝固療法を開始する。各薬剤の減量基準に注意する。

    一手目 リクシアナ60mg錠(エドキサバントシル酸塩水和物)1回1錠1日1回(朝食後),またはエリキュース5mg錠(アピキサバン)1回1錠1日2回(朝・夕食後),またはイグザレルト15mg錠(リバーロキサバン)1回1錠1日1回(朝食後),またはプラザキサ75mgカプセル(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)1回2カプセル1日2回(朝・夕食後)

    二手目 〈僧帽弁狭窄症例,またはCCr<15mL/分で抗凝固療法が必要な場合〉ワーファリン錠・顆粒(ワルファリンカリウム)PT-INR 1.6〜2.6を目標

    【心拍数コントロール】

    一手目 ビソプロロールフマル酸塩錠(ビソプロロールフマル酸塩)1回1.25〜5mg 1日1回(朝食後),またはカルベジロール錠(カルベジロール)1回5〜10mg 1日1回(朝食後)

    安静時心拍数110回/分を目標にする。忍容性が悪いこともあり,少量から開始し漸増する。


    二手目 〈一手目に追加〉ワソラン40mg錠(ベラパミル塩酸塩)1回1錠1日3回(毎食後),またはヘルベッサーR 100mgカプセル(ジルチアゼム塩酸塩)1回1カプセル1日2回(朝・夕食後)

    心機能が保たれている場合に限る。


    三手目 〈処方変更〉ハーフジゴキシンKY 0.125mg錠(ジゴキシン)1回0.5〜1錠1日1回(朝食後)

    高齢者では血中濃度上昇に注意する(0.5~0.8ng/mL で管理)。

    【洞調律維持療法】

    一手目 〈発作性心房細動(基質的心疾患がなく持続期間7日以内)〉サンリズム50mgカプセル(ピルシカイニド塩酸塩)1回1カプセル1日3回(毎食後),またはタンボコール100mg錠(フレカイニド酢酸塩)1回1錠1日2回(朝・夕食後),またはシベノール100mg錠(シベンゾリンコハク酸塩)1回1錠1日3回(毎食後),またはプロノン150mg錠(プロパフェノン塩酸塩)1回1錠1日3回(毎食後)

    腎機能により増減する。


    一手目 〈持続性心房細動(持続期間7日以上)〉ベプリコール50mg錠(ベプリジル塩酸塩水和物)1回1錠1日2回(朝・夕食後)

    一手目 〈心不全もしくは肥大型心筋症を伴う場合〉アミオダロン塩酸塩100mg錠(アミオダロン塩酸塩)1回1錠1日2回(朝・夕食後)

    二手目 〈治療変更〉カテーテルアブレーションを検討

    上記いずれの場合も,1剤を使用して無効な場合にはカテーテルアブレーションを検討する。

    ▶専門家へのコンサルト

    基質的心疾患除外のために,一度はスクリーニングの心エコーを施行することが望ましい。心拍数コントロールでよいのか,洞調律維持が望ましいのかの治療方針決定を含め,一度専門家にコンサルトする。

    有症状であり,1種類の抗不整脈薬が無効であれば,カテーテルアブレーションの適応であり,積極的に専門家にコンサルトする。

    ▶患者への説明のポイント

    生活習慣が原因のことがあり,ストレスの回避,節酒を指導する。家族から睡眠時無呼吸の有無を確認することも重要である。

    きちんと対応すればリスクのある不整脈ではないこと,放置すると危険なことがあることを説明し,症状がなくてもリスクに応じて治療が必要なことを理解してもらう。

    【文献】

    1)日本循環器学会, 他:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン. 2020.
    https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/

    2)Kirchhof P, et al:N Engl J Med. 2020;383(14):1305-16.

    3)Marrouche NF, et al:N Engl J Med. 2018;378(5):417-27.

    里見和浩(東京医科大学病院循環器内科主任教授)

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