No.4794 (2016年03月12日発行) P.71
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-01-26
毎年、何でもいいから、新しく何かを始めることにしている。今年は、健康のため1日1万歩を目標に。山歩きが好きだし、普段から歩くようにはしているけれど、どれくらい歩いているかはよくわからない。
まずは万歩計をつけてみた。普通に生活していると、自動車通勤でも電車通勤でもせいぜい5〜6千歩で、なかなか1万歩には届かない。たぶん、座ったままの仕事の人は誰も似たり寄ったりだろう。
わざわざ歩きに出るのはじゃまくさいので、通勤での歩行距離を伸ばすことにした。往路は簡単だ。大阪モノレールで支線への乗り換えをやめて、万博記念公園駅で下車し、阪大医学部まで2駅間を25分ほどで歩く。大阪万博の会場跡、万博外周道路を歩くのだが、これはなかなか快適である。7時台なのでほとんど人もいない。スマホを耳に、大きな声で義太夫の練習をしつつ歩くのを日課にしているので、一石二鳥だ。
義太夫の兄弟子である落語家・桂南光師匠に言わせると「先生、そんなん、いまどきの人やおまへんで」ということになる。たしかにそうだ。しかし、まぁ、たまにはそんなおっちゃんがいたっていいだろう。
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