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【識者の眼】「こども家庭ソーシャルワーカーに求められるもの」小橋孝介

No.5206 (2024年02月03日発行) P.62

小橋孝介 (鴨川市立国保病院病院長)

登録日: 2024-01-18

最終更新日: 2024-01-23

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2022年の児童福祉法の改正に基づき24年度から「こども家庭ソーシャルワーカー」が資格化される。

これまで社会福祉の専門資格として、「福祉サービスを必要としている方の相談に乗り、相談者の問題を解決へ導く役割」を担う社会福祉士(1987年国家資格化)、「精神障害者への社会復帰の促進と地域生活支援」を担う精神保健福祉士(97年国家資格化)があった。今回、子ども家庭福祉に携わる実務者の専門性の向上をめざし、子どもや家庭に関する専門的な知見を生かし、子どもに関わる包括的な相談支援を担う「こども家庭ソーシャルワーカー」の資格化が決まった。当初は認定機関による認定資格としてスタートするが、2年を目処に国家資格化も含め検討することとなっている。

現在児童相談所に勤務する児童福祉司の数は、東京都目黒区の子ども虐待死事件をきっかけとして2018年に策定された「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき増員されてきており、23年4月までに6000人を超えた。しかし、その結果勤務年数が3年未満の児童福祉司が半数を占めるようになり、ケースを通じて現場の様子を見てみると、児童福祉司の約半数は社会福祉士の資格を有しているにもかかわらず、ケースワークの未熟さを感じることも少なくない。

子ども家庭福祉の現場では、「子どもを中心」においた支援と「子どもの参加」を実現する、より高い専門性が必要である。増加し続ける子ども虐待をはじめとする様々な子ども家庭福祉の課題に対応するためには、子ども家庭福祉に関する専門的な知識とソーシャルワークの技術を学ぶ必要性がある。

こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得には、子ども家庭福祉に係る相談援助業務、保育所等での相談援助業務など一定の実務経験と100時間を超える研修の修了が必要である。社会福祉士・精神保健福祉士以外の実務者に対しては、さらにソーシャルワークに係る研修の修了も求められる。

こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所だけでなく、市町村のこども家庭センターやその他、児童養護施設、乳児院、保育所など幅広い場所でその役割が期待されている。今後、院内子ども虐待対応組織(child protection team)を設置する医療機関においても、チームに関わる現職の医療ソーシャルワーカーは資格を取得し、こども家庭ソーシャルワーカーとして活躍することを期待する。

小橋孝介(鴨川市立国保病院病院長)[こども家庭ソーシャルワーカー][子ども家庭福祉]

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