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【識者の眼】「事故調の聖地」小田原良治

No.5204 (2024年01月20日発行) P.56

小田原良治 (日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長)

登録日: 2024-01-11

最終更新日: 2024-01-11

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2023年11月11日、鹿児島県医療法人協会設立60周年記念講演会で、橋本岳衆議院議員が鹿児島を「事故調の聖地」になっていると話をされた1)。この「事故調の聖地」という言葉がとても気に入っている。

実際、鹿児島でいろんな進展があった。大坪寛子医療安全推進室長(当時)が、医師法第21条について、「外表異状」と命名したのも鹿児島の講演会である2)。医療事故調査制度のスイッチを入れる(センターへ報告するかを判断する)のが管理者であることも鹿児島で明確になった。保岡興治元法務大臣が当時の厚労省案に問題があると飛び入り発言されたのも鹿児島の講演会である。「医療事故調査制度の施行に係る検討会」のとりまとめをそのまま省令・通知にすると明確になったのも鹿児島での土生栄二総務課長(当時)講演であった。

現場の医療を守る会と日本医療法人協会が医療事故調査制度についてコラボすることを決めたのも鹿児島である。橋本岳衆議院議員、足立信也元参議院議員、石井みどり元参議院議員を始めとして、医療事故調査制度と医師法第21条に関わった多くの人々が鹿児島に来て下さった。そのたびに新たな進展があった。日本医療法人協会医療安全部会長として医療事故調査制度の旗振り役を何とかやってこれたのも多くの人々の支えがあったからである。

昨年(2023年)は、新年早々から再び医療事故調査制度に関わる多くの問題が発生した。これらの原因は同制度への誤解にある。制度創設時に立ちかえり、正確な制度理解をすべきことを担当の厚労省医療安全推進・医務指導室と協議を重ねた。解決策として23年8月27日、梅木和宣室長(講演会時は元室長)、井上清成弁護士とともに、鹿児島で鼎談を行うことにより医療事故調査制度の趣旨の再確認を行うことができた(No.5189)。

私が本誌「識者の眼」執筆をお引き受けして1年が経った。医療事故調査制度、医師法第21条を中心に執筆してきたが、もう1年、このテーマを中心に執筆したいと思っている。

蛇足ではあるが、家族から「『事故調作家』になったね」と言われた。「事故調の聖地」とともにこれはこれで気に入っている。

【文献】

1)m3.com医療維新公式サイト:「全産業に見合った賃上げ可能な改定必要」, 橋本衆院議員.(2023年11月12日)
https://www.m3.com/news/iryoishin/1175887

2)小田原良治:未来の医師を救う医療事故調査制度とは何か. 幻冬舎, 2018, p361.

小田原良治(日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長)[医療事故調査制度][医師法第21条]

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