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閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の最新の治療「舌下神経電気刺激療法」について

No.5201 (2023年12月30日発行) P.47

欠畑誠治 (太田総合病院中耳内視鏡手術センター センター長)

千葉伸太郎 (太田総合病院記念研究所附属診療所 太田睡眠科学センター所長)

登録日: 2023-12-30

最終更新日: 2023-12-26

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  • 中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)への標準的な治療は,持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)ですが,継続率は50~70%程度と報告されています。CPAP療法を継続できなくて困っている患者に対して新たに適応になった「舌下神経電気刺激療法」についてご教示下さい。
    太田睡眠科学センター・千葉伸太郎先生にご解説をお願いします。

    【質問者】欠畑誠治 太田総合病院中耳内視鏡手術センター センター長


    【回答】

    【今後,わが国でも持続陽圧呼吸療法(CPAP)の代替治療として普及していくと考えられる】

    疫学調査によると,わが国において治療が必要とされるOSAの患者数は900万人と推定されています。中等症以上においてCPAPが治療の第一選択とされていますが,保存療法であるCPAPは継続性が治療の奏効に影響します。これまでの報告では治療の受容,継続性(50~70%)は高くないとされ,有効な代替治療が求められています。

    舌下神経電気刺激療法は,OSAの機能要因である咽頭開大筋群の反応性に着目した治療法です。Inspire Medical Systems社のInspire2(2018年にわが国の薬事承認を取得)は,肋間に埋め込まれたセンサーリード先端の圧センサーが吸気相を検知し,パルスジェネレーターから刺激リードを介して運動神経である舌下神経に電気刺激を送り,吸気時に気道を拡大し,閉塞を防止します。2014年には多施設前向き臨床試験(STAR trial)が行われ,登録された929人の参加者のうち,最終的に124人(年齢54.5歳,男女比83:17,白人97%,BMI 28.4)がフォローされ,12カ月の無呼吸低呼吸指数(AHI)の中央値は,29/時から9/時へと68%減少,その後,3年後,5年後のフォローアップによる有効性が報告されました。2019年にはSTAR trial, German cohort,US cohort,ADH ERE registryの計584名の成績がまとめられ,外科治療基準で77.1%の効果が報告されました。

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